2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 素 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70323003)
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Keywords | 脳腸相関 / 過敏性腸症候群 / CRH / 消化管知覚 / 消化管運動 / 脳画像 / CRH-R1 / α-helical CRH |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、前年度にひき続き、消化管刺激により脳腸の特定部位で神経伝達物質、特にストレスの鍵物質であるcorticotropin-releasing hormone(CRH)が放出され、中枢機能ならびに消化管機能を変化させるという仮説を検証し、脳腸相関の物質的基盤を解明することである。過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome : IBS)では中枢神経と消化管のストレス反応性が亢進している。IBS患者は不安・覚醒水準が高く、corticotropin-releasing hormonc(CRH)の外因性投与により、adrenocorticotropic hormone(ACTH)放出と大腸運動亢進が生ずる(Gut 42 : 845-849, 1998)。この現象は脳内CRHの機能亢進によって説明できる。そこで、CRH拮抗薬の投与が炎症回復後のIBSの動物モデルである病態を改善するという仮説を検証した。対象はWistar系雄性ラットである。CRH-R1受容体拮抗薬CP-154526を主に用いた。まず、trinitrobenezepe sulfonic acid(TNBS)を直腸内に投与して炎症を惹起させ、これを回復させた。次いで、腹壁に筋電図電極を装着し、安定させた。その後、ポリエチレン製のバロスッタトバッグをラット直腸に挿入し、80mmHgの圧力を負荷し、大腸伸展刺激を加えた。この時の筋電図をvisceromotor response(VMR)として計測した。TNBSの投与は、大腸伸展刺激に対するVMRを有意に増加させた。これに対して、CRH-R1受容体拮抗薬CP-154526の投与はTNBSによる大腸伸展刺激に対するVMR反応亢進を有意に抑制した。CRH-R1受容体拮抗薬CP-154526の投与は、主に大腸伸展刺激によると考えられる大腸粘膜の炎症の再燃も抑制した。CRH拮抗薬の投与が炎症回復後IBSの動物モデルの病態を改善するという仮説が支持された。内臓知覚過敏の形成にCRH-R1受容体が関与していることを明らかにし得た。
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Research Products
(6 results)