2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390253
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 俊一 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 裕幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80237635)
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (00233198)
光武 範吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
VLADIMIR Saenko 長崎大学, 大学院・歯薬学総合研究科, 助教 (30343346)
|
Keywords | 甲状腺がん / 細胞内情報伝達系 / DNA損傷修復 / 放射線影響 / 分子標的治療 / 4.PMLボディー等の核内構造の形成機構の解析 / がん基礎研究 / 放射線治療 |
Research Abstract |
甲状腺がん発症分子機構を明らかにし分子標的治療法を開発するため、甲状腺乳頭癌の成因と考えられるret/PTC、Braf、MAPkinaseの持続的活性経路を解析し、同時に、悪性度増悪に関与するNFkBとp53に着目し、各種樹立ヒト甲状腺がん継代細胞株を用いて基礎研究を展開した。放射線照射実験による細胞内DNA損傷修復機構の解析では、H2AXを指標とする蛍光顕微鏡観察下における詳細な検討を行い、遺伝子損傷の細胞分裂に伴う継承が、結果的に遺伝子不安定性から染色体不安定性へとつながる可能性を示唆した。DNA二重鎖切断修復に関する重要なDNAPK酵素活性を各種がん細胞で測定し、同時にこれらDNAPKの放射線感受性や治療抵抗性の分子機構を解析中である。現在この酵素活性の増減による細胞死や抵抗性の機構が解明されつつあり、甲状腺がんに対する放射線治療の有効性の判定が治療前に可能か否か分子病理学的探索を行っている。一方、甲状腺がんの幹細胞に関する基礎研究成果では、甲状腺がん幹細胞の存在を解析し、これらがん幹細胞を標的とする甲状腺低分化がん、未分化がんの新たな分子標的治療が有効と考えられた。In vitroおよびin vivoにおけるこれら分子標的治療薬剤として特異的なNFkB阻害剤が放射線照射療法との組合せにより効果的な治療効果を発揮することを証明した。今後これらの効果が甲状腺がん幹細胞を標的としているか否かを詳細に検討する必要がある。臨床展開では、甲状腺未分化がんにおけるcABL発現の増加とp53異常の関係を明らかにし、これらを分子標的とするcABL阻害剤と放射線外照射の組合せで手術不能な未分化がんの著名な縮小効果を見出すことが出来た。今後症例数を重ね、QOLや予後改善への貢献と同時に、低分化がんや早期治療対策の一助への道を開く必要がある。なお当初計画したSNPsの解析結果を利用した放射線感受性・抵抗性に関する基礎研究は、単独の標的遺伝子機能解析の有用性が疑問視され、諸問題解決の上先に進める予定である。
|
Research Products
(25 results)