2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390253
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 俊一 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 大学病院, 准教授 (00233198)
光武 範吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
SAENKO Vladimir 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30343346)
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Keywords | 内分泌学 / 甲状腺がん / 遺伝子多型解析 / 細胞機能解析 / 放射線影響 |
Research Abstract |
甲状腺がんの発症分子機構を解明する為に、手術がん組織ならびに培養細胞を用いた発がんに関連する細胞内情報伝達系異常と遺伝子不安定性の詳細を明らかにすることを研究目的としている。最終年度は、BRAF遺伝子との相互関連分子であるARAFやRAPA1、GNAQなどの点突然変異の有無を検索し、いずれも異常がないことを証明した。さらに遺伝子導入発がん誘発候補遺伝子群の探索成果からはARAF異常の関与をin vitroでは証明したが、in vivoサンプルではその異常は見出されなかった。染色体再配列異常や点突然変異の蓄積による細胞死や細胞死逸脱機構についての解析を進め、DNA損傷応答と細胞周期調節機序の関連について研究成果をまとめた。放射線誘発甲状腺乳頭癌のSNPs解析は不安定かつ不確実なデータの為、現在症例数を増やしその正否を確認中であるが、甲状腺特異的転写因子の一つである染色体9番目のFOXOE1(TTF2)のSNPs関連遺伝子異常がチェルノブイリ放射線誘発がんでも関連することを証明した。さらに遺伝子多型に関するSNPs解析結果をDNA損傷応答関連遺伝子群において取り纏め一定の相関を見出すことができた。 以上に対して、甲状腺進行癌の分子標的治療の臨床応用は遅々として進まない現状である。P53を標的とする治療法の有用性は証明されたが、他の細胞増殖情報伝達系を標的とする有効な分子標的薬は臨床治験が実施されず欧米の情報に依存している。そこでグリベックを中心に放射線照射療法との併用効果について臨床治験を進め進行癌、未分化癌の一部に有効性を証明した。今後日本甲状腺学会を通じた進行癌対策を協議予定である。これら基礎と臨床の融合研究により患者の予後や生命の質に考慮した患者本位の展開医療が推進される研究意義が期待される。
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Research Products
(24 results)