2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫不全症の遺伝子診断システムの構築と新規責任遺伝子の発見
Project/Area Number |
19390282
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
峯岸 克行 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (10343154)
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Keywords | 免疫不全症 / 遺伝子診断 / 高IgE症候群 / STAT3 / TYK2 / Th17細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
原発性免疫不全症は、免疫系遺伝子の異常により発症する疾患で、ヒトの免疫系遺伝子の生体内機能の解明に重要な貢献をしてきた。その1つの高IgE症候群は黄色ブドウ球菌による皮膚・肺の感染症、重症のアトピー性皮膚炎、血清IgEの高値を主徴とする疾患である。本症候群は、40年以上も前にその第1例が報告されていたにもかかわらず、我々が本研究を開始するまでその原因が不明だった。 我々は、高IgE症候群に細胞内寄生細菌とウイルスに対する易感染性を合併する症例を発見したことを契機として、ヒトTYK2欠損症を世界で始めて同定した(lmmunity,2006)。さらにこのTYK2欠損症においてサイトカインシグナル伝達が障害されていることを見出したことから、STAT3の突然変異が高IgE症候群の主要な原因遺伝子であることを世界で始めて明らかにした(Nature, 2007)。 高IgE症候群はSTAT3の異常によりにより発症することが明らかとなったが、その病態形跡機構はこれまで明らかではない。最近高IgE症候群においてTh17細胞の分化障害が起こっていることが明らかにされたが、これがなぜ、皮膚と肺に選択的に黄色ブドウ球菌感染症を引き起こすかは不明であった。そこで、我々は正常または高IgE症候群のT細胞を活性化し、その上清をケラチノサイトに投与したところ、正常の上清はケラチノサイトを刺激して、好中球をリクルートするケモカインCXCL8とβ-defensin2/3を大量に産生したのに対して、患者T細胞由来の上清では、それらの産生上昇がほとんど見られなかった。さらにこの現象はケラチノサイトと気管支上皮細胞に特異的に見られ、線維芽細胞、血管内皮細胞、マクロファージでは見られなかった。すなわち、Th17細胞から分泌されるサイトカインは肺と皮膚において感染防御に特に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(12 results)