2008 Fiscal Year Annual Research Report
F-18フルオロデオキシマンノース(FDM)によるPETがん診断法の開発
Project/Area Number |
19390312
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 寛 Tohoku University, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (60143038)
吉岡 孝志 山形大学, 医学部, 教授 (90271981)
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Keywords | PET / がん画像診断 / デオキシマンノース / デオキシグルコース |
Research Abstract |
本年度は、[^<18>F]FDMの臨床応用実現に向けた実用的標識合成法の確立を目的として研究を進めた。標識合成は、前年度開発した[^<18>F]FDMの新規標識前駆体2化合物を用いて、求核置換反応(SN2)によるF-18標識を試みた。この前駆体は、[^<18>F]FDGの標識前駆体と同様に水酸基をアセチル基で保護した構造として設計されたが、結果的に放射化学的収率(RCY)は非常に低く(数%)、実用的合成は実現できなかった。原因は、フッ素導入部位に隣接する水酸基の保護基がアセチル結合であったためと推察された。そこでより結合安定性に優れるアルキルエーテル型保護基を導入した前駆体を新たに設計し、合成した。その前駆体を用いてSN2によるF-18標識を行い、酸性条件下での脱保護反応を経て目的とする[^<18>F]FDMの合成を試みたところ、良好なRCY(>60%)と放射化学的純度(>95%)で[^<18>F]FDMを得ることができた。この結果は[^<18>F]FDGの標識合成に匹敵する結果であり、当該合成法は将来的に十分臨床応用可能なものであることが示唆された。また、反応機序的にこの[^<18>F]FDM合成法は、FDG合成装置を利用出来る。このように実用的標識合成法を確立したことから、実際にその合成法で得られた[^<18>F]FDMの腫瘍集積性について、予備的にラット腫瘍(LY80)モデルを用いて検証した。[^<18>F]FDM投与60分および120分後の組織集積率を調べたところ、腫瘍組織が最も高い値(2.1〜2.2%ID/g)となり、ついで高い集積を示した脳に対しても約1.9倍(60分)あることが確認された。以上、本年度の研究によって腫瘍イメージング剤として期待できる[^<18>F]FDMの実用的標識合成法を確立することができ、次年度以降の臨床応用に向けた研究基盤が整った。
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