2008 Fiscal Year Annual Research Report
内因性大麻受容体活性化による鎮痛作用の神経科学的基盤と難治性がん疼痛治療への応用
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19390407
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
川股 知之 Sapporo Medical University, 医学部, 講師 (80336388)
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Keywords | 骨がん / 疼痛 / カンナビノイド |
Research Abstract |
CB1受容体作動薬の鎮痛効果を正常マウスと骨がん疼痛モデルマウスで検討した.骨がん疼痛モデルマウスはC3H/Hej系統マウスの左大腿骨骨髄内にosteosarcoma cellを移植することにより作成した. osteosarcoma cell移植により移植7日後より下肢を振るflinchingおよび歩行・下肢加重障害の自発痛関連行動,体動時痛関連行動が出現し,2〜3週間後に疼痛関連行動は最大となった.CB1受容体作動薬ACEAをクモ膜下投与により正常マウスで熱性侵害刺激に対する下肢の逃避潜時は用量依存性に延長した.また,骨がん疼痛モデルマウスにACEAをクモ膜下投与したところ,自発痛関連行動および体動時痛関連行動は用量依存性に軽減した.これらのACEAの効果は選択的CB1拮抗薬AM251の同時投与により完全に拮抗され,選択的CB2拮抗薬の同時投与ではACEAの効果に変化がないことから,ACEAの効果は脊髄CB1活性化によるものと考えられた.また,ACEAを連日クモ膜下投与することにより,正常マウスおよび骨がん疼痛モデルマウスで鎮痛効果耐性が形成されることが明らかとなった.また,内因性カンナビノイドである2-AG, anandamideの代謝阻害であるURB597およびURB602のクモ膜下投与によっては鎮痛効果は得られなかった.以上により,1.脊髄CB1活性化により熱性疼痛および骨がん関連疼痛は減弱する,2.CB1作動薬であるACEAの脊髄繰り返し投与で鎮痛効果耐性が形成される,3.骨がん疼痛状態では脊髄における内因性カンナビノイド系効果は活性化されない,ことが明らかとなった.
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Research Products
(8 results)