2010 Fiscal Year Annual Research Report
内因性大麻受容体活性化による鎮痛機構の神経科学的基盤と難治性がん疼痛治療への応用
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19390407
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
川股 知之 信州大学, 医学部, 准教授 (80336388)
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Keywords | 骨がん / 疼痛 / カンナビノイド / 脊髄 |
Research Abstract |
骨がん疼痛発現におけるカプサイシン受容体(TRPV 1)陽性末梢知覚神経の役割を検討した.方法として,マウスにカプサイシンを腰部くも膜下腔へ投与した.これにより脊髄に投射するTRPV 1陽性末梢知覚神経が選択的に除去されることを免疫染色により確認した.TRPV 1陽性末梢知覚神経脱落マウスの左大腿骨にosteosarcoma細胞を移植し,骨がん疼痛モデルマウスを作製した.正常マウスで骨がん疼痛モデルを作成すると,自発痛関連行動(フリンチング)と動作時痛関連行動(歩行異常,立位異常)が認められた.一方,TRPV 1陽性末梢知覚神経脱落マウスで作成した骨がん疼痛モデルは動作時痛関連行動は同様に示すが,自発痛関連行動が消失した.したがって,TRPV 1陽性末梢知覚神経は自発痛関連行動のみに関与していることが示唆された.また,この結果は骨がん疼痛モデルではTRPV 1がtonicに活性化していることを示す. 最近,正に電荷した局所麻酔薬QX314が活性化したTRPV 1のポアを通過して細胞内に侵入し局所麻酔効果を発揮することが明らかとなった.そこで,骨がん疼痛モデルマウスにQX314を全身投与したところTRPV 1陽性末梢知覚神経脱落マウスと同様に選択的に自発痛関連行動のみが消失した.したがって,QX314は骨がん誘起自発痛に有効であることが示唆された.
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Research Products
(11 results)