2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による頭頸部癌診断・治療の新しい展開
Project/Area Number |
19390432
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 諭 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (20125347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 明宏 北海道大学, 大学病院, 溝師 (30312359)
畠山 鎮次 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70294973)
白土 博樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20187537)
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Keywords | 頭頸部癌 / プロテオーム / ユビキチン |
Research Abstract |
今年度はTRIM32の分子生化学的機能解析を中心に行い、プロテオーム解析に向けるべくいかの結果を得た。頭頸部扁平上皮癌でその発現が亢進しているTRIM32の分子生化学的機能解析を行った。 北海道大学病院耳鼻咽喉科で手術を行った頭頸部扁平上皮癌10例の腫瘍検体および同一患者の正常組織でのTRIM32のタンパク質レベルでの発現をウェスタンブロット法にて検討した。その結果、70%の患者において、腫瘍組織でのTRIM32の発現亢進を認めた。また、TRIM32抗体を用いた免疫組織染色法においても、腫瘍組織での発現亢進が確認できた。 次に、大腸菌を用いてTRIM32のリコンビナントタンパク質を作製しユビキチンリガーゼ活性を有することを確認した。また、それにはRING-fingerドメインが必要であった。 さらに、酵母2ハイブリッド法によりTRIM32の結合タンパク質としてAbl-interactor2(Abi2)を同定した。TRIM32とAbi2の結合は、哺乳類細胞内でも確認でき、また、TRIM32によるAbi2のユビキチン化、またプロテアソームを介したAbi2の分解促進も確認した。これまでに、Abi2が細胞増殖および細胞運動能に対し抑制的に働くことが報告されていたため、レトロウイルスを用いて作製したTRIM32の過剰発現細胞、またsiRNAによるKnock-down細胞を使って、細胞増殖、細胞周期、足場非依存性増殖能、細胞運動能に対する影響を検討した。その結果、TRIM32はこれらの機能に対し、Abi2とは逆に促進的に働いた。このため、TRIM32はAbi2の分解を介して細胞増殖や細胞運動に関与している可能性が示唆された。 また、ヒト喉頭癌細胞株(HEp2)とそのシスプラチン耐性株における、内在性TRIM32のmRNAとタンパク質の発現を比較すると、シスプラチン耐性株において約2倍上昇していた。このことから、TRIM32がシスプラチン耐性化に関与していることが推測されたため、TRIM32過剰発現細胞およびKnock-down細胞を用いて、シスプラチンの感受性を比較した。その結果、TRIM32がシスプラチンによる細胞死を抑制することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)