2009 Fiscal Year Annual Research Report
内耳有毛細胞に存在する新規機械電気変換イオンチャネルの単離と機能解析
Project/Area Number |
19390438
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鵜川 眞也 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (20326135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 昌一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20216063)
植田 高史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90244540)
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80157750)
石田 雄介 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30381809)
梶田 健二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (80381820)
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Keywords | MET channel / ASIC1b / 有毛細胞 / 感覚毛 / 内耳 / ノックアウトマウス / 機械刺激電流 / パッチクランプ |
Research Abstract |
聴覚受容体チャネル候補遺伝子ASIC1b(酸感受性イオンチャネル1b)欠損マウスの聴力を、ABR法を用いて調べたところ、8、 16、 32kHzの各周波数、4、 8、 12、 16の各週齢において中等度の非進行性難聴所見が得られた。ASIC1bは有毛細胞のみならずラセン神経節の神経細胞にも発現しているので、難聴の原因として、(1)ラセン神経節における聴覚情報伝達に異常を来している、(2)有毛細胞自身に障害が生じている、の両者が考えられた。そこで、パッチクランプ法を用いて有毛細胞の機械刺激電流(MET電流)を測定したところ、ノックアウトマウス有毛細胞のMET電流は野生型のものに比べ大幅に減少していた。このことは、難聴の原因として少なくとも有毛細胞自身の異常が関与していること、さらにASIC1bが機械刺激受容体として機能していることを強く示唆するものであった。さらに、MET電流の惹起にASIC1bがどの程度貢献しているのかを評価するため、野生型マウス有毛細胞のMET電流をASIC1bの特異的阻害剤であるフサンFUT存在下で記録したところ、約30%の電流値減少が観察された。このことは、MET電流の発生に少なくともASIC1bが寄与しているという我々の仮説を強く支持するものであり、同時に他の遺伝子も機械刺激受容に関与していることを意味している。そこで、作製したマウス蝸牛cDNAライブラリーを用いて新規聴覚受容体候補遺伝子のスクリーニングを開始した。ただし、聴覚受容体の特性に関する知見が文献的にも極めて少ないので、遺伝子単離の手がかりとなるような情報を獲得すべく、有毛細胞の生理学的・薬理学的解析を行う必要があり、現在準備を進めている。
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Research Products
(1 results)