2010 Fiscal Year Annual Research Report
内耳有毛細胞に存在する新規機械電気変換イオンチャネルの単離と機能解析
Project/Area Number |
19390438
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20326135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 高史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (90244540)
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80157750)
梶田 健二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (80381820)
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Keywords | MET channel / ASIC1b / 有毛細胞 / 感覚毛 / 内耳 / ノックアウトマウス / 機械刺激電流 / パッチクランプ |
Research Abstract |
ASIC1b(酸感受性イオンチャネル1b)ノックアウトマウス,ヘテロマウス,野生型マウスの有毛細胞にパッチ電極を当て,その電気生理学的特性を詳細に解析した.酸性溶液に対する応答を調べたところ,ヘテロおよび野生型マウスの内・外,両有毛細胞において,pH5.0刺激により一過性のナトリウム電流が惹起され,この反応はASICの阻害剤アミロライドによって完全に抑制された.一方,ノックアウトマウスの有毛細胞においては,水素イオンに対する応答は認められなかった.これらの結果は,ASIC1bチャネルを取り巻く内リンパ環境のpH(正常はpH7.5)が,有毛細胞の正常な機能発現に重要であることを示すものである.また,電位依存性電流(basolateral current)についても解析したが,各遺伝子型間で違いは認められなかった.この事実は,ASIC1bノックアウトマウスは軽度から中等度の難聴を来すこと,内リンパ液は酸性ではなくASIC1bが水素イオンによって活性化されているとは考えにくいこと,ASIC遺伝子ファミリーは哺乳類における機械刺激受容チャネルの有力候補分子であることを考え合わせると,ASIC1bが機械刺激で開閉されている可能性を強く示唆するものである.そこで,野生型マウス有毛細胞の機械刺激電流をASIC1bの特異的阻害剤であるフサン存在下で記録したところ,約20%の電流値減少が観察された.この結果も,機械刺激電流の発生に少なくともASIC1bが関与しているという我々の仮説を強く支持するものである. 上記実験と並行して,新規機械刺激受容チャネルの単離目的で,新たに作製したマウス蝸牛cDNAライブラリーのランダムシークエンスを開始した.約120個の遺伝子配列を調べたところ,約1/4がデータベースに登録されていない遺伝子であった.現在も,この作業は続いている.
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