2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用合金の耐食性評価のための新たな電気化学的アプローチ
Project/Area Number |
19390500
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
小田 豊 Tokyo Dental College, 歯学部, 教授 (00085838)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武本 真治 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70366178)
|
Keywords | 歯科用合金 / 腐食 / 電気化学 / チタン / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、先進的な電気化学的手法である、歯科用合金の動電位分極特性、インピーダンス特性の測定、EQCAによる測定を行い、歯科用合金の電気化学的情報を総合的に把握することによって、新たな歯科用合金の電気化学的耐食性評価方法の確立を目指している。 前年度に引き続き電気化学的データの蓄積を行うと同時に、変色、溶出、表面分析を行い、溶液と合金の相互関係を調べた。その結果、過酸化水素を含む溶液では, Ti-55NiとTi-6Al-4V合金で〓E*が10以上と大きく,著しい変色が認められたが,溶出量ではTi-55Ni以外は1μg/cm2以下とほとんど溶出しなかった。フッ化ナトリウムを含む溶液ではCP-Ti, Ti-0.15Pd, Ti-7Nb-6Al, Ti-6Al-4V, Ti-10Cuの各合金で〓E*が10以上の変色が認められ、Ti-20CrとTi-55Ni合金では僅かな変色であった。また、溶出量はTi-20Crを除いて1μg/cm2以上を示し、明らかな溶出が認められた。 これらの結果とEQCAの測定結果の関係を明らかにするために、Ti電極とTi-10Cr電極を用いて周波数と電位変動を調べたところ、フッ化ナトリウムを含む溶液ではTi電極で周波数が増加し、重量減少が確認された。酸性の過酸化水素を含有する溶液ではTi電極で周波数が減少し、重量の増加が確認された。また、アルカリ性の過酸化水素を含有する溶液ではTi電極で周波数が増加し、重量の減少が確認された。Ti-10Cr電極では何れの溶液においても周波数の増減は僅かであった。従って、Ti-Cr合金はフッ化水素酸と過酸化物の環境下でも変色や腐食が少ないことが明らかとされた。
|