2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用合金の耐食性評価のための新たな電気化学的アプローチ
Project/Area Number |
19390500
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
小田 豊 Tokyo Dental College, 歯学部, 教授 (00085838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武本 真治 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70366178)
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Keywords | 歯科用合金 / 腐食 / 電気化学 / チタン / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、先進的な電気化学的手法である、歯科用合金の動電位分極特性、インピーダンス特性の測定、EQCAによる測定を行い、歯科用合金の電気化学的情報を総合的に把握することによって、新たな歯科用合金の電気化学的耐食性評価方法の確立を目指している。 EQCM(electrochemical quartz crystal micro-balance)を用い、フッ化物や過酸化物を含む溶液中でのクロム含有チタン合金の腐食挙動を解析した結果、NaF溶液と過酸化水素を含むアルカリ性溶液中ではTiおよびTi-Cr共に電極表面から溶出が起こり、16時間でNaF溶液中ではTiが1400ng、Ti-Crが250ng、過酸化水素を含むアルカリ性溶液中ではTiが1100ng、Ti-Crが750ng溶出したものと推定された。過酸化水素を含む酸性溶液中ではTiおよびTi-Crの電極表面に800ng(Ti)、300ng(Ti-Cr)の酸化物が析出したものと推定された。また、TiにCrを含有した場合、何れの溶液においてもTiより周波数の変化が少なかった。従って、チタンへのクロム添加は、フッ化物や過酸化物との反応を抑制することが明らかとされた。 EIS(electrochemical impedance spectroscopy)を用いてフッ化物や過酸化物を含む溶液中でのチタンおよびチタン合金の腐食・変色挙動を調べた結果、生理食塩水ではcp-TiとTi-6 Al-4V合金は約5×10^5Ωcm^2のインピーダンスを示し、緻密な酸化膜の生成が推定されたが、過酸化物を含む溶液中では約2×10^4Ωcm^2のインピーダンスを示し二重層の被膜の生成が推定され、フッ化物を含む溶液中では約1×10^3Ωcm^2に低下し、酸化膜の破壊が推定された。
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