2009 Fiscal Year Annual Research Report
極北先住民の生存・共生システムとしてのトナカイ牧畜文化の研究
Project/Area Number |
19401040
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 睦 Chiba University, 文学部, 教授 (00312926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 浩樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (00305400)
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Keywords | 文化人類学 / 極北先住民 / トナカイ牧畜 / 生存 / 共生 / 環境 / 社会関係 / ロシア連邦 |
Research Abstract |
ロシア・極北地域のトナカイ牧畜文化の現状について、19年度実施の調査(西シベリア・森林ネネツ民族)と20年度繰越予算により実施した調査(サハ共和国エヴェン民族)を統括、過去の実績(ツンドラ・ネネツ民族調査)とも比較して分析することが本年度の主要目的であった。まず、研究分担者高倉浩樹が、当該研究課題の趣旨と重なる極北、アジア、アフリカの牧畜文化を人-動物関係の視点で解明しようとする試みである国際セミナーを、21年5月東北大学・東北アジア研究センターにおいて開催、代表者吉田も参加した。特殊化・例外化扱いを受けてきた極北のトナカイ牧畜を、牧畜或いは人-動物関係という共通項において他地域の牧畜文化と同一の地平で議論する試みであり、活発な議論を経て重要な成果を得た。 10-11月には研究代表者の吉田睦がロシア、モスクワにおいて最近のトナカイ牧畜及びその他の生業活動に関する資料・文献データを収集するとともに、トナカイ牧畜連盟幹部とトナカイ牧畜をめぐる最近の情勢について意見交換を行った。また、ロシア科学アカデミー民族学・人類学研究所において実施された先住民環境アセスメントセミナー(11月5日)に参加し、最近の開発、環境問題に関する社会状況に関する専門家の立場に関する情報を収集した。 3年間の研究成果については、諸般の事情により報告書の作成は断念し、代表者と分担者が個別に研究成果を発表することにした。研究成果としては、「研究実績の概要」欄に示した各国語論文の他、牧畜管理実態に関するビデオ映像資料(DVD-R)も含まれる。 研究期間や人員、現地の受入体制や予算の関係で一定の制約があり、当初予定していた規模の研究は実施できなかった側面もある。しかし、総じてネネツ民族(西シベリア)、エヴェン民族(サハ共和国)において現地調査を実施できたことにより、現代トナカイ牧畜文化の実態を記録・分析できた。今後これをもとに更なる調査分析につなげたい。
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