2008 Fiscal Year Annual Research Report
運輸事故調査制度の研究-ドイツ・フランス・ノルウェーの実態調査を踏まえて
Project/Area Number |
19402015
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
重田 晴生 Aoyama Gakuin University, 会計プロフェッション研究科, 教授 (40327284)
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Keywords | 海上安全 / 交通事故 / 国際協力 / 事故調査 / 刑事法 |
Research Abstract |
I.運輸事故(船舶ほか航空機、鉄道等の事故)に関する原因究明調査並びに行政処分について若干の外国の行政調査機関を訪問し実態調査を行なう本申請研究の最終年度は、現在この制度改革を急速に推進しその最終段階にあるノルウェーを調査の主軸とし、もう一つは近年制度改革を行ったドイツに絞りこの2カ国、計4機関で計画を実施することとした。かくて年度前半は事前の質問事項の作成など周到な準備にあて、先ずノルウェーから調査に着手した。 II.ノルウェーは、訪問の2ヶ月前の7月1日に新法を施行、従来の行政機関を発展的に解消して、総合的な運輸事故の原因究明のみを行なう調査機関である「ノルウェー運輸事故調査委員会」(AIBN、本部オスロ)と既存の「ノルウェー海事局」(NMD、本部ハウゲスン)でスタートしたばかりであった。新設のAIBNでは、質問に対する回答や局長他委員全員との議論(現地通訳者付)、付設の実験研究施設等を見学した。AIBNの新体制は、わが国の制度改革の方向(下記参照)と共通しており、先方も日本の制度に強い関心を持ち訪問の意義は大であった。第2のNMDは従来の行政官庁の骨格は残しつつ、大幅で複雑な改正が行われたため訪問前には理解が難しかったが、NMD局長と法律専門担当官の説明で(現地通訳者付)かなり明解になった。さらに、第三番目として、世界最大の船舶保険会社の一つGuard P.I.(在ベルゲン)を訪問、有意義な調査ができた。 III.次の調査訪問国ドイツでは、連邦海難事故調査局(BSU、本部ハンブルグ)において局長及び法律専門官と長時間会合し(現地通訳者付)、制度改正後6年間の運用実務上の問題点等を中心に有意義な調査ができた。 最後に一言、わが国は平成20年10月1日をもって、歴史ある海難審判法を改正し、海難審判庁を改廃して、新たに原因究明機能に特化した「運輸安全委員会」を国交省の外局とし、また懲戒手続を行う「海難審判所」を同省の特別機関として設置する新制度を発足させた。
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