2007 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける35時間労働制の実態と顧用政策に関する研究
Project/Area Number |
19402026
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 耕一 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (00235649)
|
Keywords | フランスの35時間労働法 / 35時間労働法批判 / フィヨン法 / 2005年3月31日の法 / 失業率上昇の原因 / 失業構造 / 若者の雇用の不安定化 / 高齢者の長期的失業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フフンスの35時間労働問題の収束方同と、35時間労働法の有名無実化の後に可能な雇用政策を明らかにすることである。平成19年度の研究実施計画では、2005年3月31日の法以降の状況について、独仏の研究者との意見交換と情報収集の他、35時間労働制の現実についてフランスの自動車メーカーに対するインタビュー調査を行なう予定であったが、前者の計画については実施できたが、後者の計画については学内業務の都合でヒアリングを実施できず、次年度以降に延期せざるを得なかった。なお、本年度に実施した研究の成果は以下の2点である。 (1)1998年のオブリー法I及び2000年のオブリー法IIによって制度化された35時間労働制の右翼政権による有名無実化政策に関して、35時間労働法を形骸化した2005年3月31日の法の背景にあるフランス経団連および右翼政権の主張を分析し、また法の内容を検討し、研究成果を論文「フランス35時間労働法の命運-労働時間の政治経済学」として公表した。2005年の法以後、法定労働時間は35時間であるが、残業時間に対する割増報酬率が軽減されたことから、企業は35時間労働制に移行する必要がなくなった。 (2)EU加盟国であるとともにユーロ採用国として、財政・金融政策を実施しえないフランスにとって、雇用創出のためにどのような政策が可能であるのかというのが、もう一つの研究テーマであるが、今年度は、この研究の第一歩としてフランスにおける失業問題に関するサーベイを行い、研究成果を論文「フランスにおける失業問題」として公表した。フランスは西欧諸国のなかで最も失業率が高く、若者の雇用の不安定化と高齢者の長期失業を特徴としている。その背景には、フランスに固有の資格制度がある。
|
Research Products
(2 results)