2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける35時間労働制の実態と雇用政策に関する研究
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19402026
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 耕一 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (00235649)
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Keywords | フランスの35時間労働制 / 2005年3月31日の法 / 2007年8月21日の法(TEPA法) / 自動車メーカーの労使間協定 / 金属産業の部門協定 / 労働時間編成のフレキシビリティー / 法と労使関係 / CFDT |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランスの35時間労働問題の収束方向と、35時間労働法の有名無実化の後に可能な雇用政策を明らかにすることである。平成20年度の研究実施計画では、平成19年度に実施できなかったフランスの自動車メーカー及び労働組合に対するインタビュー調査を行なう予定であったが、学部長業務の都合で日程調整が困難であったことから、労働組合CFDT(本部及び金属産業部門、自動車産業部門)に対するヒアリング調査と現地での資料収集のみを実施し得た。なお、第1回調査時(11月2-9日)にはCFDT本部の労働担当局長J.P.ドゥルー氏へのヒアリング調査を行うと共に、フランス政府の雇用政策及び労働時間問題について、パリ第1大学のJ, -C1.・バルビエ教授、パリ第9大学のT.キラ教授に専門的知識の提供を受けた。第2回調査時(2月8-15日)には、CFDT金属産業部門の総書記D,ジリエ氏及び自動車産業部門全国書記Ph.ポルチエ氏ヘヒアリング調査を行った。本年度の調査研究によって得た成果は以下の2点である。 (1)35時間労働法の形骸化を進めた右翼政権の2005年3月31日の法および2007年8月21日の法(通称TEPA法)にも関わらず、オブリー法によって週35時間労働制に移行した企業の多くは35時間労働制を放棄していない。これは各種のデータによって実証できた。 (2)右翼政権による35時間労働制の形骸化にもかかわらず従業員20人以上の企業の多くが35時間労働制を放棄しない理由は、35時間労働制への移行を巡る労使間協議によって労働時間編成のフレキシビリティーが実現あれていると共に、交渉時に生まれた良好な労使関係を破壊したくないという経営側の意志にあった。これは、自動車メーカーの労使間協定の分析及び労働組合の説明から明らかになった。 (3)金属産業の部門協定の分析によって、1998年のオブリー法から2007年のTEPA法までの法制度の変化に対応する金属産業労使の反応を研究し、研究成果を論文「法と労使関係-フランスの35時間労働制を巡る金属産業の労使間協定とカードル問題」として公表した。
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Research Products
(1 results)