2010 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な都市再生とガバナンスに関するイギリス・アメリカ・アジアの比較都市研究
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19402039
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
西山 八重子 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (10164617)
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Keywords | コミュニティ / ガバナンス / ネットワーク / アセット・マネジメント / 中間支援組織 / 都市政策 / 地域資源 / 市民事業組織 |
Research Abstract |
持続可能な都市再生の条件を、コミュニティ・ガバナンスの視点から明らかにすることが本研究の目的であり、本年度は、各国で異なるガバナンスの実態を類型化し、各国の市民事業が持続可能な再生事業を展開するために必要な社会的条件を追求した。そして、この研究成果を『分断社会と都市ガバナンス』(日本経済評論社)として出版した。 都市再事業に取り組む市民事業組織が、行政・企業・市民組織・地域住民組織などとの協力体制、つまりガバナンスをどのように形成するかを各国の諸都市の事例から研究してきたが、本年は、とくにアメリカ(クリーブランド、ニューヨーク)、イギリス(ロンドン)、オランダ(アムステルダム)、中国(上海)、インドネシア(バリ)、日本(名古屋、長浜、高松、熊本)の各事例を深く掘り下げ、ガバナンスを3つに類型化した。3類型は、公益志向開放型ガバナンス、共益志向開放型ガバナンス、共益志向閉鎖型ガバナンスであり、コミュニティ・ガバナンスを公益志向開放型に向かわせるためには、いくつかの社会的条件が必要であることがわかった。コミュニティ内部の共通善や共同性を追求する共益志向ではなく、市民社会の普遍的な活動へ展開する可能性をもった公益志向のガバナンスに向かわせる条件とは、諸組織のネットワーク化、中間支援組織の存在、アセット・マネジメントの手法、都市政策の支援などであった。ガバナンスの実態は各国で異なっているが、こうした社会的条件のいずれを重点的に整備すれば良いかが、比較検討によって明らかになった。とくに日本の場合、中間支援組織の全国的な組織化が欠けており、コミュニティ内にとどまりがちな市民事業組織の実践知や情報を共有し、政府へのアドボカシー機能を強めることが持続的な事業展開に必要であり、共益志向閉鎖型から脱却が進むことが指摘された。
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Research Products
(6 results)