2008 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける女子教育及び女性のライフコースに関する総合的研究
Project/Area Number |
19402041
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
服部 範子 Hyogo University of Teacher Education, 学校教育研究科, 准教授 (70189570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 雅美 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (10083057)
名須川 知子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50144621)
黒川 衣代 鳴門教育大学, 学校教育研究科, 教授 (80300375)
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Keywords | 南アジア / ジェンダー / 女子教育 / 社会政策 / ライフコース |
Research Abstract |
今年度には、南アジア北部のヒマラヤ山岳地帯において、国別や宗教の差異にも着目し、インド・ウータラーンチャル州、ネパール東北部、ブータンにおいて、農村部・山間部での女性の生活や女子教育の状況について、現地調査を実施した。調査結果の概略は以下の通りである。 1) 国レベルでは3ヶ国とも識字率や就学率をアップするための取組みが、山間部の隅々の地域まで、きめ細かく取組まれている。教育状況は近年、急激に改善している。 2) 山間部まで教育を保障するのは具体的にみると容易ではない。教育レベル、教員不足、教員の質の問題、子どもが親元から離れて寮・下宿生活を強いられる、親の貧富の差により子どもの教育に差異が生じているなど、多様な問題を抱えていることが明らかになった。 3) 女性の生活状況と女子教育との関係について、国別には次のような差異が見いだせる。 ・インドの場合、目常生活では伝統的な男児選好、女性差別が続いているが、女子優遇政策のため、若い年齢層では女子は男子より高い教育を受けている傾向がある。 ・ネパールでは日常生活は男女とも協働して営まれてきたが、女性には非識字者が多い。教育が近年、急速に推進されているが、ジェンダーや貧富による差別が生じている。 ・ブータンは伝統的には母系制社会であったが、現在、近代的な社会へと変容しつつある。教育は義務教育ではなく、能力があれば高校教育まで無料という能力主義を採用している。そのため、ジェンダーや貧富差より、地域差の解消が当面の課題であると認識されている。現在もブータン仏教の僧院での宗教教育と近代的な教育が共存している。
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Research Products
(3 results)