2009 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト、アブ・シール南丘陵遺跡および周辺地域の建築的研究
Project/Area Number |
19404019
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Research Institution | Cyber University |
Principal Investigator |
柏木 裕之 Cyber University, 国際文化学部, 准教授 (60277762)
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Keywords | 古代エジプト / アブ・シール南 / 石造建築 / 復元研究 / 岩窟墓 / 建造工程 / 発掘調査 / 古代遺跡 |
Research Abstract |
平成21年度は、エジプト、アブ・シール南丘陵遺跡においてカエムワセトの石造建造物に関わる建築部材を精査し、主屋西側の平面形式を検討した。さらに当該遺跡では平成20年度に石灰岩で作られた貴族墓礼拝堂と地下遺構が発見され、礼拝堂の基礎構造について調査を実施した。この結果、近接するピラミッドから石材を転用していたことが判明した。また地下に穿たれた岩窟墓について詳細な観察を行った。特に内部に安置された石灰岩製の棺は石切場から新規に切り出された石材ではなく、マスタバ墓の石製角柱を再利用した可能性が高いことが知られた。さらに石棺は岩窟墓の掘削が完了した後に搬入されたのではなく、重量のある蓋石の設置を考慮して、掘削の途中段階に行なわれたと考えられた。そこで、壁面の痕跡を丹念に記録し、石棺搬入を含めた一連の工程の復元考察を行った。 アブ・シール南丘陵遺跡から岩窟墓が新たに発見されたことを受け、比較研究の視点からルクソール西岸、コーカ地区の岩窟墓群の研究を実施した。岩山に穿たれた4基の岩窟墓を中心に記録作業を実施し、密集した区域内での構築順序や改変の様相、掘削技術の詳細を検討した。さらに棺が置かれた埋葬室の調査を実施した。こうした地下深くの諸室に関する報告は数が少なく、有用な資料を提供することができたと考える。 このほか、掘削工程の研究として進めてきたダハシュール北地域の岩窟墓研究に関しても、工程の復元とともに墓の掘削作業が一連の埋葬行為に合わせながら段階的に進められたことを提示した。
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Research Products
(5 results)