2009 Fiscal Year Annual Research Report
広域分布を示すアジア産アリ類の系統地理解析によるインド・レフュージア説の検証
Project/Area Number |
19405007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 正剛 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (90133777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 一夫 九州大学, 熱帯農学研究センター, 教授 (40224092)
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
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Keywords | 放浪種 / 系統地理 / アシナガキアリ / 生態系撹乱 / インド・レフュージア / チトクロームb遺伝 / マイクロサテライトDNA |
Research Abstract |
インドの社会性昆虫研究者達の協力を得、インド各地で広域分布アリ類を採集した。帰国後、ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライトDNAを分析し、これまでに採集済みの東南アジアやスリランカの個体群も含めて分子系統解析を行った。 まず、ツムギアリのインド・スリランカ個体群は系統樹の根元に位置し、他の東南アジア個体群とは別亜種程度に分化していることが明らかとなった。インド・スリランカ個体群内のネットワーク図ではインド南西端の個体群が中心を占め、そこからスリランカ個体群が分化し、遺伝距離は比較的遠い。他の個体群は別方向への分化を示し、その遺伝距離は地理的距離と相関している。このことは現在のインド・スリランカ個体群が、インド南西端の個体群から拡散したことを示しており、インドレフュージア仮説を支持している。また、チトクロームbの分子時計は、これらの拡散が数十万年から100万年前の間に起こったことを示唆した。これは東南アジア個体群内の拡散時期とほぼ一致しており、インドシナレフュージアとインドレフュージアへの収斂と拡散がほぼ同時期に親こしたことを示している。 一方、アシナガキアリは人為的撹乱を強く受けており、地域個体群間の系統関係はほとんど地理的距離を反映していないが、インド南部で採集された個体群は分子系統樹の根元に位置する傾向を示す。更に別のDNA領域について分析する必要があるが、アシナガキアリもインド南部起源でみり、人為的運搬によって世界中に広がり、侵略的外来種となった可能性が高いと考えられる。
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[Journal Article] Ovarian development and insulin-signaling pathways during reproductivedifferentiation in the queenless ponerine ant Diacamma sp.
Author(s)
Okada, Y., Miyazaki, S., Miyakawa, H., Ishikawa, A., Tsuji, K., Miura, T.
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Journal Title
Journal of Insect Physiology (in press)
Peer Reviewed
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