2010 Fiscal Year Annual Research Report
古代アンデス社会におけるヒトの移動と文化変容の関係の解明
Project/Area Number |
19405016
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (30131923)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 克知 長崎大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70018703)
北川 賀一 長崎大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70186237)
米田 穣 東京大学, 領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
|
Keywords | アンデス古代文明 / ミトコンドリアDNA分析 / 形態学的研究 / 安定同位体分析 / インカ / シカン |
Research Abstract |
計画の最終年度である本年は4回の現地調査を行った。2010年6月にはチャチャポヤス地方レイメバンバのミイラ博物館を訪問し、先インカ時代からインカ期にかけてのミイラサンプルを調査し、DNAと食性分析用のサンプル約50点を採取した。9月には北海岸のシカン博物館、トゥンバ・レアル博物館とブリューニング博物館およびChotuna Huaca Norte, Chornancap Norte遺跡を訪問し、ユタ・バレー大学のバーゲン・クラウス博士と共同でサンプルの採取と人骨の形態学的な調査を行った。これらのサンプルは現在ペルー文化省に輸出許可を申請している。2011年1月にはクスコ文化庁を訪問し、前年に採集したインカ期の人骨のDNA分析結果について、現地の人類学者エルバ・トーレス氏と検討を行ったほか、人骨が出土した遺跡の実地調査を行った。2011年3月にはリマを訪問し、レイメバンバのミイラ博物館のサンプル分析の結果を、館長のソニア・ギエン博士と検討した。4年間にわたる調査の結果、南海岸地域における文化変容が集団の遺伝的な構成に変化を伴うものであることを明らかにしたほか、北海岸においてはそれとは異なり、文化変容が遺伝的な変化を伴わないものであることも解明できた。なお、前者の結果は本年度に南イリノイ大学出版から単行本の1章として出版されており、また後者はペルーのカトリカ大学からの出版が決定している。アルティプラノとクスコのインカ集団の関係については現在解析を進めており、インカ帝国の創世神話と考古学的な知見の相違について、DNAと食性および形質人類学のデータから検討を進めている。これまでに解析したデータから、アンデスの北海岸と南山岳地域では人々の遺伝的な組成が異なっていることが明らかになっている。これらの結果については2012年春に、東海大学出版局から出版されるインカに関する著作で発表の予定である。
|
Research Products
(5 results)