2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19405017
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 裕文 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (20112542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐合 隆一 茨城大学, 農学部, 教授 (30261746)
伊藤 一幸 神戸大学, 農学部, 教授 (80355271)
榎本 敬 岡山大学, 資源生物研究所, 准教授 (50033254)
種坂 英次 近畿大学, 農学部, 准教授 (80188391)
秋本 正博 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (60312443)
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Keywords | 生物多様性 / ヒエ属植物 / 侵入生物 / 遺伝資源 / カタログ |
Research Abstract |
大陸間移動を伴う雑草の拡散の持つ生態系保全問題の一般性を検討するために、世界各地におけるとヒエ属植物をモデルとして、水稲や野生イネの生態と関連づけてその自生の状態を現地調査し、除草剤抵抗性系統の進化拡散、湿地環境への野生化など生態的多様性の実態を明らかにし、得られた生態写真と線画および種子形態写真をカタログ化する研究を行った。まず、5月末に研究計画会議を行い全体計画と本年度の海外調査の方法と項目を検討した後、北米では8月下旬にアメリカ合衆国アーカンサス州とルイジアナ州においてヒエ属植物の分布を調査し、その結果、8種および3変種を同定した。南米では3月上旬にブラジル国ペルナンブーコ州、アラゴアス州、セルジッペ州において、アマゾン水系と稲作地帯のヒエ属植物の生育を観察した。オーストラリア国では3月下旬にニューサウスウエールズ州とクイーンズラン州の在来種の生育地においてヒエ属研究で著名のDr.P.Michael氏とともに学術調査を行った。南アジアでは10月にスリランカ国コロンボとキャンディ周辺の稲作地でヒエ属植物を調査し、3種類以上を確認し、2008年3月にはインド国タミルナドウ州のコインバトーレ県で調査を行い、4種類以上のヒエ属を発見した.アフリカでは、8月下旬にケニア国およびナイジェリア国おいて稲作地とニジェール川周辺で調査を行い、多年生種2種と一年生種3種の自生地の状況を調べるとともに種子を採集した。アメリカ合衆国およびオーストラリアでは牧草として導入された南米原産のEchinochloa plystachyaが水湿地で生育しており、在来種の自生地や周辺の生態系に影響をあたえていた。E.oryzoidesは南アジアに広く見られ、オーストラリア北米の稲作地でみられる型と同じ変異を示した。熱帯では、一年生種のイヌビエは多年生的な生態を示し、生育地の条件に応じて生活史を変更していると推定された。また、E.colonaは乾燥地でも比較的広汎に見られるなど、畑地のさまざまな管理方法下におけるヒエ属植物の生活史を観察し、その生存様式などの生態を調査した。これらの調査で得た撮影画像、採集品(標本、種子)は代表者のもとへ集め、一部の標本から線画を作成している。
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