Research Abstract |
中国科学院寒区旱区環境工程研究所の協力を得て,中国甘粛省白銀市靖遠県平堡郷に灌漑実験圃場を開設した.圃場内には気象観測露場を設け,高さ6メートルの観測ポールを立て,蒸発散量を評価するための必要最小限のシステムを構築した.また,圃場内には土壌水分と土壌電気伝導度を測定するために10本のTDRを埋設し,さらに地下水汲み上げ用と地下水位測定用の井戸も掘削した.太陽電池を電源として,2007年9月末より自記観測を開始し,2008年2月に第1回のデータ吸い上げを行った.現在,そのデータの解析を進めている.また,現地における作物栽培予備実験も行ったが,既に秋が深まっており,満足できる結果は得られなかった. 同時に,現地の土壌の物理性に関する実験を行い,さらに土壌・地下水の塩類化・ソーダ質化の実態調査を行った.また,現地で栽培されている作物に含まれる塩類の分析を行い,平成20年度の実験に用いる作物種の選別を行い,トウモロコシ,コムギ,ヒマワリを栽培することにした. 一方,九大構内において,大型ポット実験システムを構築し,土壌組成と断面内の塩類挙動の関係,および作物種と土壌断面内の各種イオン分布の関係等について予備的実験を行った.こちらでも,季節的な原因により,栽培実験については十分な結果は得られなかったが,実験システムそのものは満足できる性能を持つことが確認された.平成20年度は本実験の年と位置づけ,4月下旬の現地での播種を目指して準備を進めている.
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