2008 Fiscal Year Annual Research Report
メコンデルタにおける海面上昇に伴う水稲生産の脆弱性評価
Project/Area Number |
19405040
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
横沢 正幸 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 大気環境研究領域, 上席研究員 (80354124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 昭彦 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 特別研究員 (10435589)
坂本 利弘 独立行政法人農業環境技術研究所, 生態系計測研究領域, 研究員 (20354053)
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Keywords | 塩水遡上 / 塩害 / 気候変動 / 国際研究者交流 / ベトナム |
Research Abstract |
研究2年目にあたる2008年度は、影響評価モデルの開発を中心に研究を行った。 1.水稲栽培環境の観測、衛星画像解析結果の検証および栽培様式に関する調査(前年度からの継続) 前年度に設けた観測サイト(ソクチャン省3県各3圃場,計9圃場)において,水田および灌漑水路の塩分濃度、pH、水田水位、土壌水分、気象条件、イネ生育の長期連続観測を継続して行った。また、沿岸地域において農家・水利管理組織・農業普及所での水管理・作付け体系・栽培管理技術等に関する情報収集や、GPSを用いたグランドトゥルース調査を実施し、衛星画像の解析やモデルから得られた作付暦の空間分布と年次変動の精度を確認した。 2.塩水遡上影響評価モデルの開発 塩水遡上の季節変化と降雨パターン等の気象条件から水田の水条件を評価し、作付暦(播種、出穂、収穫日、栽培可能回数)とイネの生育を推定するモデルを構築した。作付暦の検証は衛星画像(MODIS 8-day composite)の解析から得られた植生指数(EVI)の時間変化および出穂日の判別結果と、モデルから推定された葉面積指数LAIの時間変化および出穂日を比較することで行った。沿岸域4地点における2002-2006年(10作期)の出穂日のモデル推定値と衛星画像判別値との差(RMSE)は7.8日であった。 3.過去の塩水遡上状況における脆弱性の評価 脆弱性の指標として提案された必要栽培日数に対する栽培可能期間の余裕期間(SMC:Safe Margin for Cropping)を用いて、過去の塩水遡上状況から水稲生産の脆弱性評価を行った。1998年と2000年を対象としたシミュレーションの結果、沿岸部および内陸部の一部地域に脆弱性の高い水田が分布することが示された。またこれらの地域の中には過去に塩水遡上による作付の失敗事例があったことが現地調査によって確認されており、指標の妥当性も確認された。
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