2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸管感染症菌の南アジアとアフリカでの流行状況と分子疫学的比較解析
Project/Area Number |
19406015
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山崎 伸二 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (70221653)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 義雄 神戸市環境保健研究所, 微生物部, 副部長 (60144739)
|
Keywords | コレラ菌 / 下痢原性大腸菌 / 分子疫学 / 病原因子 / ケニア / アフリカ / 南アジア |
Research Abstract |
インド国立コレラ及び腸管感染症研究所で集められた下痢症患者便103検体をマッコンキー寒天培地上で培養し、得られたコロニーを掻き取り、下痢原性大腸菌の病原因子(elt, est, aggR, ipaH, eaeA, stx1, stx2, cdt-I & cdt-IV, cdt-II, cdt-III & cdt-V)を検出できるリアルタイムPCR法で調べた。昨年度の37検体を含め調べた140検体中eltが3検体で陽性(2.1%)、estが2検体で陽性(1.4%)、aggRが41検体で陽性(29%)、eaeAが24検体で陽性、cdt-(II, III & V)が1検体で陽性であった。ケニアではaggR陽性が53%、eaeA陽性が43%、elt陽性が35%とインドの下痢症における下痢原性大腸菌の流行タイプや陽性率がケニアと異なることが示唆された。また、cdt遺伝子についても調べた結果、cdt-I/-IV及びcdt-II/-III/-Vが陽性となった検体はそれぞれ5検体であった。一方、我が国のそれらと比較すると、最も陽性率が高かったのがcdt-I/-IVの12%(26/214)、ついでaggRの8.9%(19/214)、eaeAの8.4%(18/214)とcdt-II/-III/-Vの5.6%(12/214)であった。PCRが陽性となった下痢原性大腸菌の分離を試み、ケニア由来で50株、インド由来で18株、我が国由来で44株分離した。一方、ケニアの下痢症患者から分離され、コレラ菌と疑われた菌について血清型及び病原因子について調べたところ、調べた126株中99株がO1エルトール型コレラ菌で、古典型のコレラ毒素を産生するハイブリッド型コレラ菌であった。また、14株はコレラ菌に特異的なtoxR遺伝子が陽性となり、Non-O1/O139コレラ菌と考えられた。残り13株はコレラ菌以外の菌と考えられ、現在菌種を同定中である。Non-O1/O139コレラ菌1株で、近年新しく見つかったコリックス毒素が陽性となった。3型分泌装置に関わる病原因子は、全てのコレラ菌で陰性であった。O1コレラ菌はほぼ同一のPFGEパターンを示し、ケニアで同一のO1コレラ菌による流行が発生していたことが明らかとなった。
|
Research Products
(19 results)
-
-
[Journal Article]2010
Author(s)
S.Yamasaki, 他7名
-
Journal Title
Current Topics of Infectious Diseases in Japan and Asia-Molecular epidemiology of Vibrio cholerae and Campylobacter isolated in Asian countries-(Edited by K.Tanaka, Y.Niki and A.Kokaze)(Springer, Tokyo)
Pages: 25-43
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-