2007 Fiscal Year Annual Research Report
世界無形遺産グルジア伝統ポリフォニーの音響構造分析と感性評価
Project/Area Number |
19500184
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Research Institution | Foundation for Advancement of International Science |
Principal Investigator |
河合 徳枝 Foundation for Advancement of International Science, 研究開発部, 主任研究員 (50261128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 エミ 財団法人国際科学振興財団, メディア教育開発センター・研究開発部, 准教授 (20260010)
森本 雅子 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第七部・第二研究室, 室長 (50312210)
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Keywords | 超高周波成分 / ゆらぎ構造 / ポリフォニー / グルジア / 合唱 |
Research Abstract |
グルジア共和国におそらく千年を超えて伝承されてきた高度なポリフォニーは、人類が築きあげてきた芸術文化の至宝のひとつであり、西欧のポリフォニーの源流といわれる。ユネスコにより『人類の口承・無形遺産の傑作』第一号の指定をうけたグルジアのポリフォニーは、人類の感性脳を強力かつ高度に誘起し、人類普遍の魅力をもつ。この研究では、グルジアのポリフォニーに特異的にみられる周波数・ゆらぎ・ピッチ(音高)などの音響構造を解明し、それらが人間の脳における感性反応にどのように作用しているかを検討することを目的とする。 初年度である19年度は、まず、グルジアのポリフォニーの音響構造をさまざまな側面から分析するための手法を開発した。分析にあたっての基本的なパラメータとして、周波数、ゆらぎ、ピッチ(音高)、音色など基本指標を設定し、FFTスペクトル、最大エントロピースペクトルアレイ(MESAM)を求めた。そのなかで、高忠実度での記録が可能な超広帯域音響収録システムをもちいて記録したグルジアのポリフォニーには、人間に音として聴こえる周波数上限(20kHz)を上回る豊富な超高周波が含まれることを見出した。 また、最大エントロピースペクトルアレイ法(MESEM)により求めたスペクトルアレイから、複雑性指標(ゆらぎ構造)を求めた。すなわち、変化の大きさを測る〈MEスペクトル1階微分累積変化量〉、および起伏の複雑さを測る〈MEスペクトル2階微分累積変化量〉の2種類の指標を求める分析手法を整備した。 さらに、次年度の脳生理学的評価計測を実施する際の、有効な指標として活用できる表示方法や実験呈示方法についての検討を行った。
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