2009 Fiscal Year Annual Research Report
文字列データ解析システムの構築と平安中期歌語生成に関する研究
Project/Area Number |
19500217
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
福田 智子 Doshisha University, 文化情報学部, 准教授 (50363388)
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Keywords | 和歌文学 / 平安中期 / 古今和歌六帖 / 情報科学 / データマイニング / 文字列解析 / 歌語 / 類題 |
Research Abstract |
平安中期成立とされる類題和歌集『古今和歌六帖』の伝本について、黒木香氏・古瀬雅義氏・藏中さやか氏・南里一郎氏・長谷川薫氏の協力を得て、2008年度までに、五本(桂宮本・永青文庫本・黒川文庫本・内閣文庫和学講談所印本・同江雲渭樹印本)を電子テキスト化した。そこで、本年度は、それらの電子テキストを影印に照らして再度チェックするとともに、既存のソフトを用いて、伝本相互に本文を比較対照しながら、電子テキストの精度を高めることに努めた。さらに、五本すべての原本を、所蔵機関(宮内庁書陵部・熊本大学附属図書館・ノートルダム清心女子大学附属図書館・国立公文書館)に赴いて閲覧し、影印では確認できない擦り消しや墨滅の様子を把握した。そして、それらの情報を電子テキストに加えるためのタグを新たに考案し、データに入力した。 また、『古今和歌六帖』諸本の悉皆調査、および校本出版を企図する黒田彰子氏(愛知文教大学・教授)を中心とする研究グループから、寛文九年版本のテキストデータを譲り受け、フォーマットを変更した上で、架蔵の原本との本文確認作業を行った。このデータは、本共同研究における六本目の電子テキストとして使用できる。その一方、出版社(エムワイ企画)に入稿して、黒田氏の企図する校本出版にも貢献することができた。 なお、波多野賢治氏による文字列解析ツールは、紙媒体を脱却した校本ともいうべきもので、諸本の同一歌を横並びで比較対照でき、しかも、底本を自由に選択して、他本の表記の異なる文字列をカラー表示できる。書き入れをもとに生成される本文の検索が可能である点も、豊富な異文をもつ『古今和歌六帖』研究に資するところ大である。電子テキストの原本の著作権問題があるため、現時点ではこのシステムを一般に公開することはできないが、さらにシステムの改良に努めた上で、将来的には社会に供したい。
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Research Products
(9 results)