2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500230
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
生塩 研一 Kinki University, 医学部, 助教 (30296751)
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Keywords | 時間認知 / 時間知覚 / 大脳生理学 / 電気生理学 / 前頭前野 / 線条体 / 大脳基底核 / 霊長類 |
Research Abstract |
時間は、視覚、聴覚、触覚などの感覚種には依存しない物理情報であり、前頭前野がそれらの感覚情報を統合する領野であることはよく知られている。また、線条体は前頭前野からの入力を受け、視床経由で前頭前野とループ回路を形成しており、前頭前野と機能連関が深いと考えられている。脳画像イメージング法による研究からも前頭前野と線条体が時間情報処理に何らかの関与をしていることが指摘されている。そこで、各脳領野の具体的な役割を明らかするため、サルを使った電気生理実験を進めている。本研究では、2つの視覚刺激(青色か赤色の四角形。1番目をC1、2番目をC2と呼ぶ。)をそれぞれ異なる時間、引き続いて呈示した後、呈示時間が長い方を選択すると報酬を与える時間弁別課題を線した。比較すべき時間は200ミリ秒から2000ミリ秒の間から選んだ。C1期間中における前頭前野ニューロンの応答パターンは、刺激呈示開始から一定時間の遅延後にバースト的な発火を示すバーストタイプ、C1期間中ずっと高頻度発火を保つ持続タイプ、それから、C1呈示開始から徐々に発火頻度が高くなる斬増タイプの3つに分類された。中でも、バーストタイプのニューロンが過半数を占めた。さらに、刺激呈示からの遅延が800ミリ秒のニューロンが最も多く、この遅延は単純な刺激応答ではなく認知過程に関わるもので、我々はこのタイプのニューロンは長短を区別する基準を表現する孝考えている。また、C1とC2期間中の線条体の神経活動を調べたところ、バースト的発火が観測された。このバースト的発火は前頭前野と類似していたが、両者の機能的差異はまだ分かっていない。今後は、C1以降における前頭前野の神経活動や、線条体の神経活動を詳細に調べて、各領野の機能的役割を明確にしていく。
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Research Products
(3 results)