Research Abstract |
本研究では,多変量モデルの選択基準問題において,変数の次元が標本数と同程度に大きいとする漸近的枠組のもとで高次元情報量基準の構成に焦点を当てている.まず,これまで判別分析におはる変数選択問題に取り組んでいたが,追加情報モデルのAIC型リスクに対して簡潔な漸近的不偏推定量の構成に成功し,この結果に基づく高次元AIC基準を提案した.また,この基準が高次元の場合に有効であることを数値的に確認した. 次に,説明変数の次元が大きい場合に用いられるリッジ回帰において,リッジパラメータの選択問題をモデル選択の立場から考察した.この問題を多変量に拡張し,リッジパラメータ選択のためのCp規準に対して,バイアスを完全に除去した新しい修正Cp規準を提案した. さらに,主成分における小さい固有値の同等性に関する次元,判別分析における次元,および,正準相関分析における次元の推定問題を大標本漸近的枠組のもとで考察した.これまで,データ行列の尤度にもとずくモデル選択基準が提案されていたが,本研究では,次元が固有値のみに依存することから,対応する標本固有値の尤度に基づくAIC基準を導出した.新たな基準が,従来の基準より、より有効な次元の推定法であると期待される. 多変量モデル選択基準の導出と関連して,プロファイル分析における平行性モデルの選択問題に取り組み,AIC基準,並びに,次元の影響を考慮した修正AIC基準を導出した.,平行性水準の信頼区間について,新たな構成法を提案した.また,平行性問題を成長曲線モデルに拡張し,尤度比検定統計量とその帰無分布を導出した.さらに,一様共分散構造の検定統計量に対して,高次元漸近展開を導出した.
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