2007 Fiscal Year Annual Research Report
延髄内のデュアルリズムジェネレーターによる呼吸の基本周期決定の神経機構
Project/Area Number |
19500277
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鬼丸 洋 Showa University, 医学部, 准教授 (30177258)
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Keywords | 呼吸リズム / 傍顔面呼吸ニューロン / プレベッチンガー / 延髄 / 新生ラット / 摘出脳標本 / 呼吸中枢 / 顔面神経核 |
Research Abstract |
延髄呼吸中枢には,少なくとも2種類の呼吸性リズムジェネレーターが存在する:プレベッチンガーコンプレックス(PBC)と最近申請者らが発見した傍顔面呼吸ニューロングループ(pFRG)である.PBCおよびpFRGは,ある条件下ではそれぞれ独立にリズムを形成しうるが,延髄全体としては,これらのニューロングループ問での相互作用により呼吸の基本リズムが形成されると考えられている.本研究の目的は,これらのリズムジェネレーターが実際にどのような条件下で,どのような相互作用を行うことで,呼吸の基本リズムを決定するのかを明らかにすることにある.6.2(mM)K+,2.4Ca2+,1.3Mgt+を含む溶液いおいて、延髄一脊髄標本の呼吸リズム頻度(C4吸息性活動の頻度)は、延髄吻側部顔面神経核領域での切断レベルが尾側へと下がるに伴って減少した。特に延髄最吻側部(顔面神経核領域の吻側1/3)を取り除くと、pFRG-Pre-1ニューロンの活動に吸息性活動が1:1に対応しなくなり、結果としてC4吸息性活動の頻度が減少した。いわゆる量子的呼吸リズム抑制が引き起こされた。この結果は、延髄最吻側部pFRG-Pre-1ニューロンが、呼吸の基本周期を決定するpFRG全体の活動レベルを増強する役割を持つことを示唆する。実際、延髄最吻側レベルの腹外側部(顔面神経核と腹側表面の問の狭い領域)に、Pre-1ニューロンが密集して存在することを見出した。pFRGのおよそ80%を取り除く切断レベルでは、C4吸息性活動は、ほとんど停止した。ただし、このような条件下でも、外液のK+濃度を増やすか、興奮性アミノ酸(NMDA)を投与すると、C4吸息性リズムは再び見られるようになった。このときのリズム形成がpFRGからの制御を外れているかどうかは、まだ明らかではない。
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