2009 Fiscal Year Annual Research Report
延髄内のデュアルリズムジェネレーターによる呼吸の基本周期決定の神経機構
Project/Area Number |
19500277
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鬼丸 洋 Showa University, 医学部, 准教授 (30177258)
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Keywords | 延髄 / 呼吸中枢 / 中枢化学受容 / Phox2b / 呼吸リズム形成 |
Research Abstract |
延髄呼吸中枢には,少なくとも2種類の呼吸性リズムジェネレーターが存在する:プレベッチンガーコンプレソクス(PBC)と最近申請者らが発見した傍顔面呼吸ニューロングループ(pFRG)である.PBCおよびpFRGは,ある条件下ではそれぞれ独立にリズムを形成しうるが,延髄全体としては,これらのニューロングループ間での相互作用により呼吸の基本リズムが形成されると考えられている. 21年度の研究では,pFRG-Pre-Iニューロンの詳しい細胞生物学的性質を明らかにすることが急務と考え,CO2に対する反応,免疫組織化学的特徴,延髄内分布の詳細を調べた.その結果,尾側pFRGエリアにおいては性質の異なるPre-Iニューロン(CO2に反応し,Phox2b陽性でグルタミン酸ニューロン,CO2に反応せずPhox2b陰性でGABAニューロンなど)が存在することがわかった.一方,吻側pFRGは,そのほとんどがCO2応答性(脱分極)でPhox2b陽性(及びグルタミン酸ニューロン)のPre-Iニューロンから構成されていた.特に延髄最吻側に局在するPhox2b陽性ニューロンのクラスターは延髄断面からのアプローチが極めて容易で,今後詳しいCO2受容機構などを調べて行く上で,重要なターゲットになることが示された.膜電位感受性色素あるいは細胞内カルシウムインジケーターを用いた神経活動のイメージング法を適用し,このエリアのPre-Iニューロン活動を捉えることに成功した.これまでの結果より,pFRG-Pre-Iニューロンは,少なくとも生後直後では、呼吸リズムの基本周期を決定し,中枢化学受容器としても重要な機能を有していること,このために、生後の生存に不可欠な役割を果たしていることなどが分かってきた.
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