2008 Fiscal Year Annual Research Report
低温不耐性モデル動物としてのスンクスと産熱器官としての褐色脂肪組織の不全
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19500360
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
織田 銑一 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60023660)
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Keywords | スンクス / 褐色脂肪組織 / 白色脂肪組織 / 低温耐性 / ジャコウネズミ / 高血糖 / トガリネズミ / Ucp1 |
Research Abstract |
スンクスは食虫目トガリネズミ科ジネズミ亜科ジャコウネズミ属ジャコウネズミの実験動物名で、熱帯・亜熱帯に適応して生息し、分布域を広げて来た。実験室内では20℃以下になると、繁殖性は低下し、5℃以下では不動化、さらには死亡する。このように低温暴露に対する耐性が弱い原因として、低温暴露下で産熱タンパク質遺伝子Ucp1や代謝を促進する遺伝子Dio2の活性が上昇しないことが判明した。さらにそれらが上昇しない要因として、褐色脂肪組織の萎縮が組織切片で判明した。脂肪を添加した飼料を与えたところ、褐色脂肪組織は萎縮しなかった。褐色脂肪組織を肥大化させるため、高カロリー食として蔗糖水の摂取実験を行った。離乳直後から蔗糖水を常温下で50日間摂取させ、成長、血糖値の変化、および肝臓、褐色脂肪組織、白色脂肪組織、の組織学的変化を観察した。水道水摂取群と0.3モル蔗糖水(スンクスがもっとも選好)投与群とを比較したが、蔗糖水投与群は褐色脂肪組織が2倍以上肥大化した。飲水量は増加し体重は減少し、摂食量も減少した。一方、蔗糖投与群は血液中の血糖値が200-500のレベルに上昇した。肝臓の組織像では肪組肝が出現し、白内障の発症が見られた。褐色脂肪組織を肥大化させ、副作用が出ないような至適蔗糖水濃度の条件を探る必要があるものと考えられた。尚、日内休眠の詳細を追加実験で確認したが、これは低温暴露時に、褐色脂肪組織が萎縮した条件下で日内休眠が起きた時、回復する能力(エネルギー)不足に低温不耐性の症状が強く出現するものと考えられた。
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