2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世為政者の武芸実践と武芸政策に関する文献学的研究
Project/Area Number |
19500515
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Research Institution | Hamamatsu University |
Principal Investigator |
菊本 智之 Hamamatsu University, 健康プロデュース学部, 教授 (70267847)
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Keywords | 近世武芸 / 為政者 / 将軍 / 武芸実践 / 武芸思想 / 武芸政策 |
Research Abstract |
達人・名人の個人的武芸観や思想は、その関係流派にあっては大きな影響があったと考えられるが、当時の武芸界全体や全国の武士階級に直接多大な影響を与えたとは言えない。むしろ、当時の武士階級にもっとも影響力をもった為政者がどのような武芸嗜好や思想を持ち、武芸界や武士階級に対して、どのような施策を採り、影響を与えていったのかという近世の武芸研究の新たな視点にたって研究を進める必要があると考えている。当研究はこのような視点で、平成16〜18年度に採択された「近世改革期における為政者の武芸嗜好に関する文献学的研究」で明らかにしてきたものをさらに発展させ、三大改革期のみならず近世全般にわたる為政者を対象として研究を進めている。20年度は、19年度に引き続き、選定した将軍や為政者に関係する史料の所在にあたった。史料の所在が確認できた筑波大学などへ赴き、史料の確認、閲覧、撮影などを行った。これらの史料については、整理および一部解読作業を行い、8月、12月には神戸学院大学・前林清和教授から専門知識の提供、古文書解読などの協力を得て史料の分類、分析などの作業を進め、史料整理を行った。6月より日本武道学会で一部研究成果を発表するために準備を始め、8月29日の日本武道学会第41回大会では分析・整理を行った史料の内、近世後期の大名も多く学んだ鈴木系起倒流柔道の伝書2編を比較検討することにより、「鈴木家『神武柔道秘録』と水野忠通著述『柔道秘録』にみる起倒流柔道の発展過程に関する一考察」と題し、当時の大名の武芸実践の様子やその思想について発表を行った。その他、活字化された文献として19年度予算で購入できなかった『徳川實紀第八篇〜第十編』(國史大系45巻〜47巻)と『績徳川實紀第一篇〜第五編』(國史大系48巻〜52巻)を購入し、19年度に引き続き、徳川将軍の武芸実践の記述について抜き出し、整理分類作業を継続して行っている。
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Research Products
(1 results)