2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際ネットワーク新出史料によるドイツ兵俘虜のスポーツ活動の全体構造の解明
Project/Area Number |
19500533
|
Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
岸本 肇 Tokyo Future University, こども心理学部, 教授 (80030592)
|
Keywords | 第一次世界大戦 / 俘虜収容所 / ドイツ兵俘虜 / 捕虜 / スポーツ / トゥルネン / 身体文化活動 / レクリエーション |
Research Abstract |
(1)第一次世界大戦中、日本に拘置されていたドイツ兵捕虜のスポーツ活動の全体構造を、国際的ネットワークを利用して解明しようとした。 (2)ドイツ兵捕虜の在日5年有余を、(1)最初の仮収容所(寺院等)時代、(2)兵舎棟への移転後、(3)休戦条約後に分けると、スポーツクラブの活動や運動会が定着したのは(2)期である。 (3)スポーツ種目は、基本的には収容所間で共通している。しかしそこには、微妙な差もあった。久留米俘虜収容所では、広いグラウンドができるまでは「バーライフ」という陣取りゲームが盛んで、そのチームもあった。ホッケーは、板東俘虜収容所や習志野収容所ではリーグ戦まであったが、青野原収容所ではやられていない。捕虜兵に寛容の精神で接したとされる板東収容所においてさえも、夏季の水泳実施には消極的であったが、名古屋収容所では交通機関を利用して遠方まで水泳に行っている。 (4)「体操クラブ」は、彼らが中国・青島で要塞任務についていたときから継続しており、その内容は軍事的な調練とも重複していた。 (5)遠足は、「外に出る」気晴らしの機会として、厳格な捕虜管理で知られる久留米収容所でも、実施されていた。しかし似島収容所のように、収容所周辺の軍事施設との関係から、ほとんど遠足が実施されていない例もある。 (6)スポーツを通じた地域交流として、青野原収容所、似島収容所、名古屋収容所におけるサッカー交歓がある。しかしその開催時期は、「別れ」が近い上記の(3)期であった。 (7)板東収容所のイメージだけでは、ドイツ兵捕虜のスポーツ活動の分析はできない。
|
Research Products
(2 results)