2010 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツの法的問題に関する研究-日・米・欧におけるスポーツ参加を巡る紛争
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19500534
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
井上 洋一 奈良女子大学, 文学部, 教授 (10193616)
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Keywords | スポーツ / 法的問題 / 紛争 |
Research Abstract |
とくに近年の参加問題に関する紛争事例は日本スポーツ仲裁機構で争われたケースが散見できた。これらは、ボウリング競技の国体選手の選考を巡る不公正を問うたものやアジアパラ競技会への選手選考を巡る事例等であり、その決定手続きの外見的合理性が重要であった。訴訟事例としては、慰謝料請求事件として争われたが、事実上は高校生ボクシング選手の参加資格とその制限の合理性を巡る問題として捉えられる事例がみられた。これは、旧来のアマ制限条項の見直しを検討すべき事例であった。また、2010年千葉国体における山口県からエントリーした選手の資格について、従来から疑問視されていた問題が表面した。すなわち、生活実態がないにも関わらず、県の代表選手として出場し、天皇杯等のポイントを稼ぐ、いわゆるジプシー選手と言われたものの不公正さにメスが入れられた。このほか、大相撲の不祥事に対する処分とその妥当性はスポーツ団体のガバナンス問題を世に問う事例となった。今日、透明性の高い公平・公正なスポーツ界の実現がスポーツ立国戦略の一つの柱としても挙げられており、まさに、その改善すべき事例として捉えられる。諸外国の事例では、ドイツのスピードスケート選手のドーピング違反は間接的証拠をもとに、2年間の出場停止処分となった。スポーツの仲裁裁判所(CAS)もこれを認めたが選手側はスイスの裁判所に科学的根拠を示し、審理のやり直しを求めているケースである。このケースは個人的な遺伝的背景による可能性も示唆されており、一律なスポーツ界の規制が人権問題に発展することも考えられる事例である。プロテニスのドーピング違反による事例では、2度目の違反は生涯出場停止としていたが、その違反に至る理由に本人の過失の度合いが軽い場合には、厳格責任を一律に問うことは十分でないと判断し、その処分を軽減したケースも生じている。
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Research Products
(2 results)