2007 Fiscal Year Annual Research Report
重度な知的障害者の水泳指導研究-シンクロ的泳ぎの導入による遠泳学習への効果-
Project/Area Number |
19500536
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
原 通範 Wakayama University, 教育学部, 教授 (00108002)
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Keywords | 行動制御の重度な知的障害 / プールでの泳ぎの変容 / 動作経過の印象分析 / シンクロ / めだかの兄妹 / 「潜って、パッ」 / 上向きに浮く動作 / 顔をつけて泳ぐ動作 |
Research Abstract |
研究目的は,行動制御の重度な知的障害のあるA(現在25歳男性)の泳ぎのデータを収集し、彼のプールでの泳ぎの変容と、海での遠泳時の泳ぎの変容とを比較・検討するものであった。 対象児のAとの比較のために、Aと同様に行動制御の困難なB及び、逆に行動制御の点では軽度で泳ぎもうまいCとの間で海での泳ぎの特徴並びに,プールでの泳ぎの変容について観察した。今回は、変化の過程の分析ができる、プールでの動作経過の印象分析によるものでの整理をしておく。 (1)第1期(6月から9月末):この段階でのシンクロ泳ぎ(フェスティバルで5月に取り組んだ課題)で行った際、みんなで手をつないで輪になって、「潜って、パッ(息つぎ)」での動きには、AもBもできない。Cは流れもよく把握していて、動作する。 (2)第2期(10月から11月末):新しい曲を「めだかの兄妹」という言葉と動作が関連的に表象しやすいものを選び、振り付けをつくる段階。Aはこの期間ではほとんど歩いているだけという感じの動きしかできない。Bは10月はじめ頃は全くできていないが、2回ほどその振り付けを学習すると、できる動作も増えてくる。Cは、振り付けの変化した2回目を除き、おおよそどの課題もこなして動作できるようになってくる。 (3)第3期(12月から3月まで):Aは、「潜って、パッ」の動作や上向きに浮く動作、顔をつけて泳ぐ動作などが1月の終わり頃からだんだんとできてくる傾向も見られたが、2月になって、首を寝違えたり、また足に魚の目ができたりして、マイナス要因が重なって伸び悩んだ。Bは不得意な顔つけ動作以外は出来るようになってくる。彼の場合は、上向き動作(顔つけるのがイヤな反面、顔をつけずに済む上向き浮き動作)は比較的積極的である。また、「潜って、パッ」の動作でなら、顔つけ動作も概ねできてくる。Cは、ほとんどの課題はこなせるが、上向き浮きの動作では腰が下がってきて浮きにくいこともある。が、それも回を重ねるとその日のうちの2回目はだいたいこなせるようになる。
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