2007 Fiscal Year Annual Research Report
後天的身体障害者のアスリートキャリア形成に関する社会学的研究
Project/Area Number |
19500547
|
Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 毅 Tohoku Institute of Technology, 工学部, 准教授 (70210698)
|
Keywords | 車椅子バスケットボール / 後天的身体障害者 / スポーツへの社会化 / 障害者ネットワーク / アスリートキャリア形成 / 重要な他者 / 情緒的支援 / 阻害要因 |
Research Abstract |
日本代表クラス競技者の車椅子バスケットへの社会化をめぐる性差について検討するために、女子代表クラス5名に対し、彼女らの生いたちから障害を克服し車椅子バスケットへの社会化を遂げるまでに関して調査を行った。そこで得たデータと既に得ている男子代表クラス5名のデータとを比較検討した結果、男子において、車椅子バスケット界の他者(先輩等)からの勧誘・支援により車椅子バスケットへの社会化を遂げる過程が顕著に認められた。このことは、彼らの居住地域にはいわば車椅子バスケット界の障害者ネットワークが形成されていたことを物語るものと言えよう。女子の場合、自力で車椅子バスケットに参加するようになった者がほとんどであり、男子よりもそうしたネットワークが不足していると考えられる。車椅子バスケットの普及度の性差の問題が指摘されよう。なお、女子においては、彼氏の反対によって車椅子バスケットへの取り組みを中止せざるを得なかった者もいた。こうした社会化の阻害要因は女子特有のものではないかと思われる。 また、わが国のトップレベルのクラブメンバーの車椅子バスケットに参加し続ける要因と問題点を検討するために、仙台市を拠点とするクラブを対象に調査を行った。主な知見は次の通りである。まず、参加し続ける主な要因としては、車椅子バスケットの魅力とともに、重要な他者であるチームメイトの情緒的支援が挙げられる。主な問題点としては、仕事との両立、経済的側面(強くなろうとするほど遠征費が増えること)が挙げられる。ただし、本年度、当クラブの活動を支援するスポンサーが現れ、それによってメンバーの遠征費の負担がかなり軽減された。活動場所の問題もほとんど有しておらず、指導者の言の通り他のクラブよりも恵まれているようであった。
|