2008 Fiscal Year Annual Research Report
後天的身体障害者のアスリートキャリア形成に関する社会学的研究
Project/Area Number |
19500547
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 毅 Tohoku Institute of Technology, ライフデザイン学部, 准教授 (70210698)
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Keywords | 障害者スポーツ / 後天的身体障害者 / アスリートキャリア / 車椅子バスケットボール / 促進要因 / 問題点 / スポーツ振興 |
Research Abstract |
「わが国のトップレベルのクラブメンバーの車椅子バスケットに参加し続ける要因と問題点」を検討するために、東京都を拠点とするクラブのリーダー1名、他の選手5名、運営スタッフ2名に対するインタビューおよびクラブ活動の観察等を行った。当クラブは2002年に有志3名によって結成され、2年後には東京都の大会で優勝を遂げた強豪クラブである。選手達は当クラブのリーダーを慕って他のクラブから移籍した者がほとんどであり、インタビュー対象の5名は皆そうであった。リーダーも含めた選手6名は、障害を負った後に車椅子バスケット関係者から誘われ練習に参加するようになった。彼らが競技的に参加し続けるようになったのは基本的に、ある時期にトップレベルのプレーに触れ、その魅力や凄さに惹かれたことを契機に、やがて同志や目標(憧れ)となる役割モデルを得たこと、そうした中で向上心が強化されたことによる面が大きいとみられる。トップレベルのプレーに触れた時期は一様ではなく、最初の頃に触れた者もいれば、始めてから暫く経ち活動レベルに物足りなさを感じていた頃に触れた者もいた。また、「障害によって失った青春を取り戻せると感じた」「汗をかける」「杜会で感じるバリアがない」といった、要因に関するユニークで貴重な語りも得られた。問題点として挙げられたのは主に、仕事や家庭生活との両立、定まった練習場所がないこと、全体練習があまりできないことなどであった。 こうした知見は、障害者の競技スポーツを振興するため、ならびに後天的身体障害者にとってのスポーツの意味を考えるための有効な手がかりになると考えられる。
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