2008 Fiscal Year Annual Research Report
頚髄損傷者の活動性能力と健康維持能力のトレーナビリティに関する研究
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19500551
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
鶴池 政明 Osaka University of Health and Sport Sciences, 体育学部, 准教授 (40298831)
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Keywords | 障害者スポーツ / 頸髄損傷者 / 活動性能力 / 健康維持能力 / トレーナビリティ |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、まず、頸髄損傷者の車いす移動能力(活動性能力)については、分析対象者を追加し、車椅子ツインバスケットボール(WTB)選手の試合中の移動範囲を算出した。その結果、一流WTB選手の試合中の移動距離は約2.9〜4.5km、平均速度は約1.1〜1.6m/s、最高速度は約4.4〜5.9m/sの範囲であった。また、WTB選手の試合中の移動能力は、選手の障害の種類や程度が関係していることや同一チームの選手間での差が大きいことが確認された。移動距離や最高速度は、WTBの最大運動強度を示していることから、本研究の結果は、頸髄損傷者の車いす移動能力におけるトレーナビリティを示唆する。 次に、健康維持能力については、定期的にスポーツを行っている頸髄および脊髄損傷者(胸椎・腰椎損傷)を対象に、安静仰臥位における自律神経機能を心拍変動パワースペクトル分析によって評価した。その結果、交感および副交感神経活動に損傷レベルの違いによる差異はみられなかった。一方、副交感神経活動については、受傷からの期間が長くなるにつれて有意に低下する傾向を示した。副交感神経活動の低下は、健康維持能力の低下を示唆することから、頸髄および脊髄損傷の受傷期間が長くなるに伴い、より一層、健康維持に留意する必要があることを意味する。 また、頸髄(脊髄)損傷者の上肢筋機能を評価するための新しい手法の開発に着手した。その結果、神経科学的手法による1ms矩形の経皮電気刺激で正中神経Ia線維を興奮させ、橈骨手根屈筋の運動ニューロン興奮性を調べる上肢H反射の手法を構築した。この手法を用いると、腕エルゴメータ運動中の筋疲労による筋力低下を表面筋電図とIa運動ニューロンの興奮変動性、さらに経頭蓋磁気刺激(TMS)による運動ニューロン興奮性との関係を検証することができる。
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Research Products
(9 results)