2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500553
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
和田 浩一 Kobe Shoin Women's University, 文学部, 准教授 (20309438)
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Keywords | オリンピック / 嘉納治五郎 / ピエール・ド・クーベルタン / オリンピズム |
Research Abstract |
1.近代オリンピック以前の日本におけるオリンピック史の解明 第1回近代オリンピック大会以前に出版された英和辞典に現れる、オリンピック関連用語の内容を分析した。その結果、1)幕末から1896年にかけて、オリンピック用語を掲載した英和辞典は30冊に上ること、2)ほぼ共通する歴史・天文用語(Olympiad)、地理用語(Olympian,Oiympic)の他に、競技会に関する概略的記述を含む体育用語(Olympic(s) games)を掲載している辞典が一部あったことを明らかにした。(学会発表) 2.オーギュスト・ジェラールのオリンピズム理解の検証 嘉納治五郎をIOC委員としてピエール・ド・クーベルタンに推薦した駐日フランス大使ジェラールが、オリンピズムを理解していたという仮説を、ジェラール=クーベルタン書簡他を分析しながら検証した。ジェラールはオリンピック・コングレス(1905年)に協力した際、「体育」をテーマにした会議のコンセプトやオリンピック功労賞の表彰式、フランス教育功労賞へのラツールの推薦を通して、オリンピズムの教育的な意味を理解した。これが、クーベルタンが日本人IOC委員の推薦をジェラールに依頼した背景となった。(学会発表) 3.オリンピズムを受け入れる土壌となり得た嘉納の教育思想の検討 嘉納とクーベルタンの教育的な業績を整理し、両者の思想的な近似性について論じた。ジェラールの仲介を経て出会うまで、嘉納とクーベルタンとの間には何の接点もなかったが、両者には1)功利主義思想、2)教育制度の比較研究、3)三育思想に基づく教育論、4)体育・スポーツの奨励、5)国際協調への志向、が見られ、これが嘉納がオリンピズムを理解する礎となった。(調査報告書)
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