2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19500557
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
澤田 秀夫 Japan Aerospace Exploration Agency, 研究開発本部流体グループ, 主幹研究員 (30344245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嵜 武 電気通信大学, 大学院・電気通信学研究科知能機械工学専攻, 教授 (50142097)
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Keywords | 弓矢 / 和弓 / 抵抗 / 粘性流 / 軸対称境界層 / 層流 / 乱流 / 遷移 |
Research Abstract |
矢の風洞実験では、実際の矢の空力特性を磁力支持天秤装置を用いて世界で初めて計測することに成功した。特にCFRP製の矢では矢羽の効果により回転した状態で計測でき、矢の回転速度も矢に加わる空気力の微小変化を磁力支持天秤装置で計り、FFT解析により正確に評価できた。この結果を基に、矢羽の空力効果をモデル化し、矢師が製作した竹矢の空力特性を評価をした。一方、矢師が製作した5本の矢の空力特性を測定したが、験結果からは箆表面状態が磨きと砂目での明瞭な差異を見出せなかった。しかし、矢師が手作りで製作した自然素材の竹製箆と、鳥の羽製の矢羽を組合わせた矢が5本とも、ほぼ同様の特性を示したことは予想外であり、職人の技と伝統の高さには感心した。得られた試験結果から、人力による矢の飛行記録1820mを越えることのできる矢の概念設計を試み、適切な矢と矢羽の設計をすれば、世界新記録を出せるとの結論を得た。一方、野外試験ではクロスボウを用いて再現性の高い発射を実現した。弓2種類(801b,1501b)、鏃3種類(通常形状、流線形状、凹凸形状)、矢羽2種類(大、小)の計12種類の矢を発射し、それを高速度カメラ(毎秒8000フレーム)で撮影、解析を行った。2台の高速度ビデオカメラを用いて、飛翔中の矢を2箇所で撮影した。映像データより、矢の速度と回転数を解析した。抗力係数は、2つの映像の速度比から抗力係数を算出した。また、抗力係数は速度比以外に、飛翔している矢の角度からも算出できることが分かった。抗力係数測定値の相対誤差は5〜10%であった。 抗力係数は矢羽が大きいほうが大きくなる。また、鏃の形状と抗力係数の間に一定の傾向は見られなかった。JAXAの風洞実験においては、流線形状の鏃を用いた矢は大きな抗力係数の低下(層流境界層)が見られたが、本実験では流線形状の鏃を用いた矢と凹凸形状の鏃を用いた矢の抗力係数に大きな差異が見られなかった。野外実験における矢の境界層はすべて乱流化していると考えられる。回転数は速度が高いほど大きくなる。飛翔中に回転は加速し、矢羽が大きい方がより早く定常回転に近づく。抗力係数と回転数に顕著な相関は見られなかった。回転数は矢羽の状態により大きく変化するが、今年度使用した発射装置(クロスボウ)では矢を打つ度に矢羽を劣化させてしまう。今後は矢羽を劣化させないような発射装置を準備する必要がおる。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 矢の空気力学的特性2008
Author(s)
澤田秀夫(宇宙航空研究開発機構), 梅澤啓佑(東京大学大学院), 横関智弘(東京大学), 渡邊秋人(サカセ・アドテック), 大津武則(ダイワ精工)
Organizer
第14回スカイスポーツシンポジュウム
Place of Presentation
東京都千代田区駿河台
Year and Date
2008-12-06
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[Presentation] 矢の空力特性2008
Author(s)
委文一夫, 桝井和典, 宮嵜武(電通大大学院)
Organizer
日本流体力学会年会2008
Place of Presentation
神戸大学六甲キャンパ
Year and Date
2008-09-06