2008 Fiscal Year Annual Research Report
腹部肥満者の動脈硬化の進展に及ぼす終末糖化産物の関与と運動介入効果の検討
Project/Area Number |
19500604
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤本 繁夫 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (90128752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 貴仁 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10381998)
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Keywords | 肥満 / 終末糖化産物 / 動脈硬化 / 運動療法 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
Advanced Glycation End-product(以下AGE)は、還元糖とアミノ基(タンパク質、脂質、核酸など)がメイラード反応を起こしてできるもので、高血糖、酸化ストレスが原因となって形成され、血管内皮や平滑筋組織などに徐々に蓄積することで、動脈硬化の進展に関与すると推測されている。これまで特に糖尿病患者において多くの報告がなされており、3-デオキシグルコソン(3-DG)、ペントシジン、カルボキシメチルリジン (CML)などの物質が知られている。我々は、平成19年度に、明らかな糖尿病を有しないが腹部肥満を有する若年・中高年者を対象に、これらAGEの血清濃度と身体組成、血液生化学的項目やインスリン抵抗性、活性酸素の関係を総合的・横断的に解析し、特にAGE成分CMLは、肥満者では(非肥満者と比較して)若年期から既にインスリン抵抗性や活性酸素量に応じて形成され始めており、また中高年肥満女性では、体脂肪量や血液脂質量に応じてさらに形成・蓄積されることを明らかにした。平成20年度は、このような肥満者を対象に種々の運動指導を行い、身体組成、各種栄養素の摂取状況、血液生化学的項目、インスリン抵抗性や活性酸素の変化とあわせて、血清AGE成分がどのように変化するかを観察し、動脈硬化の進展に与える影響を検討した。具体的には、(1)腹部肥満を持つ中年女性(47名、56±8歳、体重:61.0±10.7kg、体脂肪量:33.0±6.7kg)を対象に、3ヶ月間、週3回の運動教室と非監視下での日常活動量のモニタリングを行い、また(2)別の肥満中高年女性(29名、57±9歳、体重:60.2±7.1kg、体脂肪率:20.6±5.8%)に対して、2ヶ月間、週3回の水中運動の教室を行った。その結果、これらの介入では、体脂肪量や血清CML濃度が有意に減少し、特に(2)の介入では、同年齢の非介入群と比べて、 CML濃度の減少と日内歩行数が正の相関を示した。以上の結果から、明らかな糖尿病を有しないような中高年の肥満女性においても、体脂肪や血液脂質量に応じて形成・蓄積されるAGE成分の一部が運動介入により減少させうることが証明され、運動指導が動脈硬化性疾患り予防に果たす新たな役割が存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)