2009 Fiscal Year Annual Research Report
腹部肥満者の動脈硬化の進展に及ぼす終末糖化産物の関与と運動介入効果の検討
Project/Area Number |
19500604
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤本 繁夫 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (90128752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 貴仁 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10381998)
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Keywords | 肥満 / 最終糖化産物 / 動脈硬化 / 運動療法 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
平成19年度は、メタボリック症候群の動脈硬化の進展に及ぼす終末糖化産物(AGE)の関与を検討するために、20歳代の若年成人と40歳から70歳代の中高齢者(いずれも明らかな糖尿病や腎疾患を有さない肥満を含む対象)に、AGE物質(カルボキシメチルリジン(CML)、ペントシジン、3-デオキシグルコソン)の血液濃度の測定を行い、身体組成や血液生化学的項目、インスリン抵抗性、活性酸素、各種栄養素摂取との関連を横断的に解析した。平成21年度には、運動介入や食事摂取がAGE関連物質の蓄積に与える影響に関して、上記中高年女性を対象に2-3ヶ月間の運動介入・生活指導を(1)陸上中心の運動、(2)水中運動に対象を分けて実施・検討してきた。その結果1)CMLは血中活性酸素・糖脂質指標と、ペントシジンは年齢や体脂肪・血液脂質と関連した。2)体脂肪量や血清CML濃度が有意に減少し、特に運動介入では、同年齢の非介入群と比べて、CML濃度の減少と日内歩行数が正の相関を示した。 そこで、平成21年度では、中高齢者の陸上運動介入群・水中運動介群の観察の中で、上記の運動の効果のさらなる検討に加えて、介入期間中に施行した食事の摂取カロリーと摂取栄養素の分析を行ない、これらの各栄養諸量と最終糖化産物の変化との関係について検討した。その結果、血中CML濃度は、陸上・水中の両運動介入群とも有意に低下しているのとは対照的に、血中ペントシジンは陸上運動群では有意な減少なく水中運動群では有意に増加していた。ペントシジンは他のAGE群とは違い、病的あるいは加齢に伴う筋肉線維間のコラーゲン架橋に関与するとも考えられており、今回の運動介入によりこの構造的変化に何らかの影響を与えた可能性がある。運動介入時の食事成分の分析では、両指導群とも総カロリー・炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラル類の摂取量には血中AGE成分との関連を認めなかったが、介入前の一日脂肪摂取量(g/day)と血中ペントシジン濃度には有意な負の相関を認めた。 以上のような、若年者から中高齢者までの加齢によるAGEs成分と動脈硬化に及ぼす影響、運動形式によるAGEs成分への影響の検討、食事因子の影響についての検討を行い、本研究課題の主テーマである"腹部肥満者の動脈硬化の進展に及ぼす終末糖化産物の関与と運動介入効果"の総括し、日本透析医学会総会や日本体力医学会近畿地方会のシンポジウムで発表を行った。
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Research Products
(2 results)