2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族の生活時間の多次元解析用システムの開発-20年前の調査資料との比較を例に-
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19500657
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
谷村 雅子 National Research Institute for Child Health and Development, 成育社会医学研究部, 部長 (90014191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 加奈子 国立成育医療センター(研究所), 成育社会医学研究部, 流動研究員 (00399487)
小板谷 典子 国立成育医療センター(研究所), 成育社会医学研究部, 共同研究員 (10341827)
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Keywords | 乳幼児 / ライフスタイル / 生活時間記録 / 対人経験 / テレビ / 携帯電話 / 核家族 / データベース |
Research Abstract |
昨年開発した生活時間記録の多次元解析用データベースの有用性の雁認並びに1987年の農村地区(A地区)の1歳6ヶ月児と親の生活時間記録の解析結果の再現性の検討を目的として、下記を行った, 1.1987年の近郊都市(B地区)の1歳6ヵ月児195名と親の生活時間記録(日記式、15分単位)と各家庭の養育環境を昨年と同様の方法でデータベース化して解析した結果、B地区においても、核家族且つ父親が児の就寝前に不在の家庭は三世代家庭や父親が帰宅していた核家庭より児の対人経験が少なく(約30分)、対人相手も限定的であった。母親の炊事、洗濯・掃除時に一人で過ごした時間が長かった。社会変容により、乳幼児期の家族との対人経験が物理的に減少していると推察される。 2.20年後の現在、対人経験の減少は、核家族化と父親の帰宅時間の遅延化の進行に加えて、映像メディアの急速な開発・普及で助長されていると予想される。そこで、4ヵ月児及び1歳6ヵ月児の発達と親子のIT接触状況に関する調査票を作成し、生活時間記録とあわせて20年後のB地区において調査を開始した。現在までに収集された資料では、4ヵ月児86名にTVを見せる家庭は少ないが(21.2%)、近くで長時間付いている家庭は少なくなく(平均3.6時間)、また、母親が授乳中に時々、またはいつも使用する率はTV74.2%、携帯電話53.0%と一般化していた。これらのIT接触時間が長い家庭の方が、児の感情表出や外界への興味が少ない傾向がみられ、映像メディアが親の視線を奪うことによる影響の可能性が示唆される。保育園児を除く1歳6ヵ月児59名では粗大運動、微細運動、親への働きかけ、有意語出現、他児への興味などの各項目の遅れ児の方が児の近くでTVがついている時間が長かった。半年後に追跡調査を予定している。 直接の関わりが重要な乳幼児期の対人経験の減少を認識する必要がある。
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Research Products
(4 results)