Research Abstract |
[目的]クックチルシステムで煮物料理を調製した場合加熱中及び保存中に塩分の移動があり,調理品の食味に影響するものと考えられる。本年度の研究ではジャガイモを材料にスチームコンベクションオーブン(SC)による加熱中とブラストチラーで冷却中の品温変化と冷蔵保存中の塩分の変化について調査した。 [方法]ジャガイモは北海道産『メークイン』を用いた。加熱はスチームコンベクションオーブン(ニチワ製SCOSC-4RS)をコンビネーションモード(ヒーターとスチームで加熱,120℃,加湿量90)を用い,加熱終了後はブラストチラー(福島工業製,QXR-005BC5)で芯温2℃まで冷却した。冷却後は2℃に設定したインキュベータ(三洋製,MIR-253)中で保存した。ジャガイモは3cm角に切り,1%食塩水中または調味液(風味調味料,醤油,砂糖,みりん,酒)中で,ホテルパンを用いて加熱した。デジタル温度計(SATO製,SK-1250MC)でイモの中心部及び煮汁の温度変化を測定した。塩分濃度は煮汁,外側(表面から1cm)と内側(外側を除いた残り)についてモール法で測定した。 [結果]加熱中のジャガイモの温度は庫内に入れて5分から急速に上昇し,22分で90℃に達した。冷却中は急速に温度が低下し,40分で10℃,70分で2℃に達した。煮汁の温度は常にジャガイモより低く,70分では,0.7℃になっていた。1%食塩水加熱の場合,冷却直後のジャガイモの塩分濃度は,外側で0.3%,内側で0.2%であったが,保存1日で外側0.7%,内側0.5%,2日で外側0.8%,内側0.7%,3日以降はほぼ同じとなり,保存中に外側から内側への浸透が見られ,保存2日でほぼプラトーになることがわかった。
|