2007 Fiscal Year Annual Research Report
低アミロース性パンコムギ澱粉におけるアミロペクチンの構造および特性の解明
Project/Area Number |
19500673
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
安井 健 National Agricultural Research Organization, 近畿中国四国農業研究センター・パン用小麦研究近中四サブチーム, 上席研究員 (00343947)
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Keywords | 食品 / 植物 / 澱粉 |
Research Abstract |
パンコムギのワキシー蛋白質遺伝子の機能の変化に伴うアミロペクチン(AP)の構造および特性の変化に関する明確な結論を得るため,研究材料としてWχ-D1座以外の遺伝的背景がほぼ同一な突然変異系統および準同質遺伝子系統を用いた。これらの研究材料は,小麦関東107号の遺伝的背景をもち,アミロース含量が4水準で異なる。穀粒からクァドルマット・ジュニア製粉機を用いて小麦粉を調製した後,小麦粉からドウを作り,それを水中で揉み出して,澱粉を分離した。澱粉乳を遠心分離し,沈殿の上層部を除去して粗製澱粉を得た。これを80%塩化セシウム溶液に重層した後,遠心分離して,混在する蛋白質を除去して精製澱粉とした。次いで,これを70%および100%Percollに重層して遠心分離することにより,大粒澱粉を調製した。小粒澱粉が混在していないことは走査型電子顕微鏡観察により確認した。大粒澱粉のアミロース含量をコンカナバリンA(Con A)法で測定し,それぞれの系統に特徴的なアミロース含量をもつことを確認した。大粒澱粉を溶解し,Con Aを加えて,APを沈殿させて回収した。APに結合しているCon Aは,Proteinase Kで分解した。次いで,反応液を加熱してProteinase Kを失活させ,エタノール沈殿法でAPを回収した。シアノトリヒドロほう酸ナトリウムを還元剤として,APの還元末端をピリジルアミノ(PA)化して蛍光標識し,サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分画する条件を設定した。分画した画分からエタノール沈殿法でAPを回収した。PA化の際の還元剤として,毒性が弱いボラン-ジメチルアミン錯塩を用いる方法を検討したが,反応の経過(0-72時間)と共に蛍光強度が増加し続け,一定の状態にならなかったので,この反応試薬の利用は取りやめた。
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