2007 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディア等からの食情報が原因と疑われる健康被害に関する調査
Project/Area Number |
19500678
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 久仁子 Gunma University, 教育学部, 教授 (50206801)
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Keywords | 食情報 / マスメディア / 健康被害 / フードファディズム / 「健康食品」 |
Research Abstract |
1.医学中央雑誌の文献検索による健康被害事例調査 医学中央雑誌の過去約20年の収載文献を検索し,マスメディア等からの食情報が原因と推察される健康被害事例を抽出することを試みた。その結果,「狭義の健康被害」と「広義の健康被害」が混在することがわかった。 「狭義の健康被害」とはテレビや新聞,雑誌等が取りあげた具体的な食情報,すなわち「ある食品」の「効能・効果」を強調した非、常識的な摂取方法等を試みて起こった健康被害である。2006年には白インゲン豆に極微量含有されるα-アミラーゼ阻害物質の影響を誇張したテレビ番組に起因する激しい下痢・嘔吐を伴う食中毒事件が全国的に多数発生した。05年には大量に摂取した粉寒天(保健効果を期待)のために腸閉塞を起こした男性が小腸の一部切除術を受けている。02年には乾し椎茸水戻し汁飲用(高血圧改善を期待)による皮膚炎が全国で散発している。 「広義の健康被害」とは具体的な個別情報ではなく,「○○は体に良(悪)い」とマスメディア等を介して巷間に喧伝される事柄による健康被害,および,いわゆる「健康食品」利用に伴う健康被害である。甲状腺ホルモン治療を受けている患者が健康効果を期待して「酢大豆」を利用したたためにT4の効果が減弱した事例(1991年)があった。 「肝臓にウコンがよい」との情報でウコンを利用してアレルギー性肝障害を起こす事例も多発している。さらに食物アレルギーに伴う過度の食事制限により,乳児にV.D欠乏性のクル病が起こっている,等の事例が明かとなった。 2.管理栄養士に対するヒアリング調査 医療機関等で栄養相談に携わる管理栄養士に,マスメディア等からの食晴報が原因ではないかと疑われる健療被害に関するヒアリングを行っているが,次年度にその結果を整理・分析する予定である。
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