2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディア等からの食情報が原因と疑われる健康被害に関する調査
Project/Area Number |
19500678
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 久仁子 Gunma University, 教育学部, 教授 (50206801)
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Keywords | 食情報 / マスメディア / 健康被害 / フードファディズム / 「健康食品」 |
Research Abstract |
医学中央雑誌を検索して入手した健康被害事例論文の内容解析を詳細に行うとともに医療関係者(医師、看護師、検査技師、管理栄養士等)および食生活指導者に、マスメディア等からの食情報が原因と疑われる健康被害事例に関する聞き取り調査を実施した。 その結果、テレビや新聞、雑誌等が取り上げた「ある食品(または食品成分)」の「効能・効果」を強調した非・常識的な摂取方法等を試みて起こった健康被害は、学会報告あるいは論文発表される事例はごく少数にとどまる現状が確認された。 「乾し椎茸の水戻し汁を飲用すると高血圧改善が期待できる」という情報を実践した通院患者が重症の皮膚障害を起こしながら医療者の忠告を無視して飲み続けた例や、ココアの健康効果を強調するテレビ情報を鵜呑みにした糖尿病患者がココアを飲用した結果、良好だった血糖コントロールを悪化させた、「納豆を2包み食べると減量できる」とのテレビ情報を試みて、結局は体重増加した事例等は論文報告には至っていない。 白インゲン豆に極微量含有されるα-アミラーゼ阻害物質の影響を誇張したテレビ番組に起因する激しい下痢・嘔吐を伴う食中毒事件は2006年に発生した。この事例は臨床検査技師を主たる会員とする「健康食品管理士会」のメンバーが全国各地の病院で多数の患者に接し、その問題性にいち早く気づいていた。 マスメディア等からもたらされる健康関連食情報による健康被害が少なからず生じている事実を一般市民に伝えることの重要性を再確認した。
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