2008 Fiscal Year Annual Research Report
女性の肥満の特性解明ー性ホルモンのレプチン受容体情報伝達に及ぼす影響ー
Project/Area Number |
19500689
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山口 義彦 University of Nagasaki, 看護栄養学部, 教授 (70253656)
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Keywords | レプチン / 性ホルモン / エストロゲン / 食欲 / 肥満 / 生活習慣病 / メタボリックシンドローム / 動脈硬化 |
Research Abstract |
女性ホルモン「エストロゲン」がレプチン受容体に及ぼす影響について、レプチン受容体安定発現細胞株を用いて検討した。ヒト腎細胞株HEK293とマウスのlong-formレプチン受容体遺伝子を組み込んだpcDNA3.1/Zeoを用いて、リポフェクタミン法にてレプチン受容体安定発現細胞株(以下、HEK293ObRb)を作成した。HEK293ObRbを、エストロゲンで前処置し、100nMレプチンで15分間刺激した。エストロゲンは、1、2,4,8、16、24,48時間の前処置を行い、その濃度は1、10,100nM前後で変化させた。細胞を可溶化後、上清をSDS-PAGEに展開した。レプチン受容体細胞内情報伝達の中軸は、Janus kinase2(JAK2)とsignal transducers and activators of transcription3(STAT3)であり、レプチンが結合するとJAK2およびSTAT3がリン酸化される。JAK2のリン酸化は、ヒト肝癌細胞株Huh7にObRbおよびJAK2をライポフェクタミン法にて遺伝子導入し検討した。細胞可溶化上清を用いて、抗リン酸化STAT3、抗リン酸化JAK2を一次抗体としウエスタンブロッティングを行った。4-24時間のエストロゲン前処置でSTAT3のリン酸化が増強し、その濃度は100nMが至適濃度であった。エストロゲン前処置にて、Huh7においてはJAK2のリン酸化の増強は認めなかった。さらに、エストロゲンのレプチンの情報伝達増強作用がMAP(mitogen activated protein)kinaseカスケード介するか否かを、その阻害剤を用いて検討したが、MAP kinaseカスケードの関与は明確ではなかった。この結果は、女性ホルモンの代表である「エストロゲン」が摂食中枢において抑制的に作用するという重要な事実を示唆した。
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