2010 Fiscal Year Annual Research Report
未利用海産藻類に含まれる抗原性糖鎖の細胞性免疫活性とその利用
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19500701
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Research Institution | Sakuyo Music College |
Principal Investigator |
木村 万里子 くらしき作陽大学, 食文化学部, 准教授 (00351932)
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Keywords | 糖タンパク質糖鎖 / 抗原性糖鎖 / 海藻糖タンパク質 / 糖鎖薬剤 / 機能性食品 |
Research Abstract |
本研究課題は、未利用海産藻類に含まれる糖タンパク質あるいは糖脂質に結合する糖鎖の細胞免疫活性と抗アレルギー性について以下の点を明らかにすることを目的とする。(1)海産藻類に発現される糖タンパク質糖鎖・糖脂質糖鎖の構造特性、(2)海藻オリゴ糖鎖が有する抗原性、(3)海藻糖タンパク質に結合する抗原性糖鎖のヒト細胞性免疫に及ぼす生理機能(T-細胞の分化・生育、サイトカイン分泌促進)、(4)抗原性糖鎖の細胞性免疫調節活性(サイトカイン分泌促進・抑制活性)を利用したアレルギー疾患(花粉症)治療薬(糖鎖薬剤)開発の可能性。 これらの解析結果から、未利用海産藻類に含まれる糖タンパク質・糖脂質に結合するオリゴ糖鎖の機能性食品あるいは医療素材開発の基礎を確立するものと考える。 平成21年度までに、海藻糖タンパク質にはハイマンノース型糖鎖が多量に存在していることを明らかにするとともに、糖ペプチドの多量精製法を確立している。更に、γ-PGAに糖ペプチドを多価数結合させた人工糖鎖ポリマーの調製法を確立した。22年度には、これら海藻由来の糖ペプチド及び人工糖鎖ポリマーを用いて、細胞性免疫調節活性の検定を行った。ホンダワラ及びヒジキ由来のハイマンノース型糖ペプチドを、海藻ホモジネートからゲルろ過、イオン交換クロマト及び順相HPLCにより調製した。得られたペプチド画分を用いて、免疫細胞の賦活化能をサイトカイン分泌を指標として測定した結果、ヒト単球を活性化することが示された。糖ペプチド画分に含まれるどのような構造の糖鎖が免疫活性に関与しているかについては、今年度中に明らかにすることはできなかったが、今後とも解析を進める予定である。また、人工糖鎖ポリマーの細胞性免疫賦活化能についても現在解析を進めている。本研究の遂行により、未利用海藻に含まれる糖タンパク質糖鎖の構造が明らかになるとともに、その応用への道が拓けたと思われる。
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Research Products
(3 results)